バレーボールPRESSBACK NUMBER
《女子バレー》竹下佳江が分析する中田ジャパン「木村沙織のような絶対的な存在は…」カギは20歳セッターと“3人”の粘り
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byFIVB
posted2021/07/21 11:02
若手が主軸を担う女子日本代表。2012年ロンドン五輪以来となるメダル獲得を目指す
「オリンピックに向けて、選手たちは自分が(12名に)残りたいという思いが強くなっていたと思う。だからプレーの質も上がっていたし、それに『このチームはこういうバレーでいくよ』と言われた時に、それにマッチしないと(五輪で)落とされるわけですから、なんとか対応しようとしている、というのもあったのではないでしょうか。
あとはやはりメンバーが固定されてきたことで、お互いにどういう動きをしたらいいのか、が見えてきていると思います。(助走に)下がるスピードや、みんなで入っていくスピードが、本当にシンクロしていたので、相当練習してきたんだろうなと。まだ籾井選手のトスアップが遅れるケースがあるので、そこはちょっと(1本目を)高さを出して持っていくなど、そういう微調整は必要なのかなとは思いますね。ネーションズリーグでは、ある程度結果も残せたことで、こうやれば世界と戦っていけるんだ、というものが少し見えたと思います」
収穫は多かった。ただ、その一方で、「その分、相手にデータは取られていると思います」と続けた。実際、ネーションズリーグ終盤は思うように4人のシンクロ攻撃が機能しなくなっていた。
「サーブターゲットは誰にすればいいのか、誰にどう返せば攻撃がワンパターンになるかなど、相手に研究されていました。世界はそうやって徹底的に弱いところを突いてきます。日本の攻撃がサイド一辺倒になった時の海外チームは強いですから。あとは、メンバーが固定されていた分、他の選手が代わって入った時にガタガタするところがありました。そこは、ネーションズリーグ後に12名に絞られたので、五輪に向けてさらにギアアップしていくところなのかなと思います」
今、セッターだったら誰に頼る?
「もしも竹下さんが今のチームの司令塔だったら、ここぞという場面で誰に頼りますか?」と聞くと、苦笑しながらこう答えた。
「私は客観的にしか見ていないから何とも……。やはり長く一緒に過ごしたり、共にプレーしているからこそいろんなことが見えてくる。この場面ではこの人強いんだ、こういう場面では弱いんだ、とか。中田監督の中で黒後選手に対する期待度が高いのはそういう部分からなのかなと思います。逆に黒後選手の控えがいないことはちょっと不安要素でもありますね。
外から見ていて魅力的なのは石川選手ですね。まだ引き出しがありそうですし、勝負強く、サーブもいい。古賀選手に関してはこの1年で本当に変わったので、安心して見ていられます。結局、その3人がどうにか粘らないと日本としては苦しいのかなと思う。絶対的な、木村沙織みたいな選手がいるわけじゃないから」