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《女子バレー》竹下佳江が分析する中田ジャパン「木村沙織のような絶対的な存在は…」カギは20歳セッターと“3人”の粘り
posted2021/07/21 11:02
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
FIVB
元日本代表セッター中田久美が代表監督に就任し、2017年にチームが始動してから4年。東京五輪を前に、ようやくチームのかたちが見えた。
中田監督はチームの始動時から、「伝説に残るチームを作り上げる」「東京五輪でのメダル獲得」を目標に掲げてきたが、その核となる司令塔も、攻撃の柱も、定まらないままオリンピックイヤーを迎えていた。
しかし今年5月末から約1カ月間に渡って行われたネーションズリーグでは、代表初選出のセッター籾井あき(JTマーヴェラス)と、アウトサイドヒッターの古賀紗理那(NECレッドロケッツ)、石川真佑、オポジットの黒後愛(共に東レアローズ)を固定した。4人を中心に戦うという中田監督のメッセージだった。
いずれも五輪経験はなく、古賀は25歳、黒後は23歳、石川は21歳、石川と同級生の籾井はまだ20歳という若い選手を軸に据えた。勢いと伸びしろは大きく期待できるが、未知の要素も多い。ネーションズリーグでは、予選ラウンドを12勝3敗の3位で勝ち上がったが、ファイナルラウンドでは目指すかたちを作れず4位に終わり、メダルに届かなかった。
9年前のロンドン五輪で、日本を銅メダルに導いた司令塔の目にはどう映ったのか。元日本代表の竹下佳江さん(姫路ヴィクトリーナ副社長)に、ネーションズリーグでの日本代表の印象を聞いた。
「呼吸ができつつある」
「(5月1日に中国と対戦した)東京チャレンジが終わってから、ものすごく固めて練習したんだろうな、というのが、初戦で見えましたね。固めてやってきたメンバーに関しては、ある程度『ここはこうなんだ』という呼吸ができつつあると感じました」
予選ラウンドを12勝3敗という好成績で勝ち上がった要因についてはこう語る。
「サーブレシーブが大崩れしないというか、苦しくても耐えていたし、たとえ崩れても、ハイセットをスパイカー陣が打ち切っていた。やはりセッターが固定されていることは、スパイカーにとっては大きいと思います。セッターだけじゃなく、ミドルブロッカーが少し代わった以外は、ほとんど主軸が固まっていたので、そういう選手たちは『自分がやらなきゃ』という気持ちになっていたんじゃないでしょうか。
古賀選手が昨年、NECですごくたくましく成長してきたというのは大きいと思いますし、今年から代表の副キャプテンになったということも変化の要因だと思います。石川選手の勝負強さも、ただ者じゃないなと思いながら見ていました(笑)」