バレーボールPRESSBACK NUMBER
《女子バレー》竹下佳江が分析する中田ジャパン「木村沙織のような絶対的な存在は…」カギは20歳セッターと“3人”の粘り
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byFIVB
posted2021/07/21 11:02
若手が主軸を担う女子日本代表。2012年ロンドン五輪以来となるメダル獲得を目指す
竹下さんが2013年に引退して以降、日本代表はセッターを固定できないでいた。籾井は身長176センチと日本のセッターとしては長身で、身体能力や勝負度胸もある。今後長く日本を背負っていく司令塔の誕生かと周囲の期待は高まるが、竹下さんは冷静に評価する。
「東京チャレンジの時はちょっと硬くなっていましたけど、そのあとは堂々とプレーしていました。左利きというところにも、中田監督はたぶん自分と同じだということで魅力を感じている部分もあると思います。あとはやっぱり高さですね。世界に行けばもっと大きい選手はいますが、日本の中ではブロックもできるバランスの良い選手です。今の時点でもいいセッターですが、ディフェンスはまだまだ強化できますし、もっと良くなる選手だと思います。
JTではオポジットにすごく決定力のある外国人選手がいたので、日本代表ではどういう組み立てをするんだろうなと注目していましたけど、中田監督もセッター出身なので、いろいろと話して、たぶんすごく吸収率が高いのかなと。そしてやっぱり(JTの)吉原知子監督が、2年で育てたということが評価されるべきなんじゃないのかなと私は思います」
「1年目の選手を正セッターに置くことは…」
籾井がJT1年目で正セッターに抜擢された2019-20シーズン、竹下さんはヴィクトリーナ姫路の監督として見ていた。
「正直、1年目はそこまでトスが安定していなくて、今日は調子が悪いなとわかる時もあったんです。でも吉原監督は我慢して使うんです。それは監督の力量。1年目の選手を正セッターに置くことはすごく勇気がいることですし、そこには『この子を育てよう』という強い思いがあったのだと思います。そういう中で、彼女自身も『自分がやらなきゃ』と感じているでしょうし、さらに1年目にVリーグで優勝して自信がついたんじゃないでしょうか」
ネーションズリーグでは、中田監督が求めていた、4人同時にしかける速い攻撃展開が機能している場面が多く見られた。高い位置でセットアップできる籾井の加入の効果もあるが、それだけではないと竹下さんは言う。