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ピクシー監督の「母国セルビア2つの改革」 ジダンやシェフチェンコのように名手→名将へ〈EURO予選敗退国もアツい〉
posted2021/07/17 17:02
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph by
REUTERS/AFLO
日本人にとっては対戦そのものより、「ピクシーの来日」というニュースのほうが大きな意味を持ったかもしれない。
6月11日に日本代表と対戦するために来日したセルビア代表。欧州中堅国の難敵とはいえ、招集されたメンバーは主力不在のいわばBチーム。メンバー発表された時点でこの試合の意図を悟ったものだ。
来日メンバーで主力組といえるのはステファン・ミトロビッチ、ネマニャ・マクシモビッチ、ネマニャ・グデリくらいだろう。その他は代表の当落線上にある選手で構成されており、今後レギュラーに割って入れるか見極める一戦だったというわけだ。
とはいえ始まってみれば、アピールに燃える若手の存在もあって意外な接戦に。主導権は常に日本が握ったが、メンバーのクオリティを考えると当然のことだ。一方でセルビアは攻勢に出ることは少なかったものの、粘り強い守備で日本を苦しめた。
試合後、「我々にとっての本番は9月のW杯予選。それまでに仕上げる」と冷静に前を見据えたのはドラガン・ストイコビッチ。選手、監督としてJリーグの名古屋で活躍した、日本と深い縁のある56歳のセルビア人指揮官だ。
2月に母国のレジェンドと再出発
選手時代はユーゴスラビア代表で輝きを放った“ピクシー” が監督に就任したのは今年2月のこと。2022カタールW杯出場を目指すセルビアは、母国のレジェンドとともに再出発した。
6月から7月にかけてヨーロッパではEURO2020が開催されていたにもかかわらず、こうしてセルビアが来日することができたのは他でもなく、EURO予選で敗退してしまったからだ。
グループBに入ったセルビアは初戦でポルトガルと引き分け、第2節でウクライナに0-5の大敗を喫する最悪のスタート。その後リュビシャ・トゥンバコビッチに監督交代し奮戦するも、予選突破にあと一歩及ばず。結果的に第2節の大敗は尾を引いた。この一戦で勢いに乗ったウクライナは、グループBを無敗で切り抜け首位突破している。