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ピクシー監督の「母国セルビア2つの改革」 ジダンやシェフチェンコのように名手→名将へ〈EURO予選敗退国もアツい〉
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byREUTERS/AFLO
posted2021/07/17 17:02
6月の日本代表戦で熱血指導するストイコビッチ監督。ピクシーの下でセルビアは復活なるか
EURO予選敗退で国内は痛烈な批判ムードだった
一方のセルビアは3位でプレーオフに回ったが、出場権をかけたスコットランド戦でPK戦の末に敗退。命運を懸けた一戦でありながら本大会出場への気概がまるで感じられず、スコットランドの勢いに終始気圧されていた。ルカ・ヨビッチの一発でPK戦に持ち込んだが、負けるべくして負けた印象だ。
この敗戦は国内でも非難の的に。元クロアチア代表監督のミロスラブ・ブラジェビッチはセルビア紙『Kurir』で「セルビアにはビッグクラブでプレーする選手が多くいるが、この試合を軽んじているようだった。まるで冗談のように」と痛烈に批判。
同じくセルビア紙の『Informer』は「(PKを失敗した)アレクサンダル・ミトロビッチが唯一にして最大の戦犯ではない。間違いなくリュビシャ・トゥンバコビッチだ」と監督を槍玉にあげた。
予選敗退が決まったセルビアは、独立後の4大会連続でEURO本戦出場を逃す形に。トゥンバコビッチはその責任を取らされる形で解任され、イリア・ストリツァ暫定監督を経て、ストイコビッチがセルビアの指揮を執ることになった。
ストイコビッチが監督に就任するまでのセルビア代表をざっと振り返ったが、監督が代わった今、チームは進化の兆しを見せている。
初陣となった2022W杯予選のアイルランド戦で3-2で勝利と良いスタートを切ると、第2節のポルトガル戦では2点のビハインドを追いついてドロー。終了間際にゴールラインを割ったシュートがノーゴールとなったことで、判定に憤怒したクリスティアーノ・ロナウドがアームバンドをピッチに叩きつけたシーンを覚えている人も多いだろう。
運も味方につける形であれ、とにかくセルビアにとって勝ち点1を手にしたことは何より。その後敵地でのアゼルバイジャン戦にも勝利し、現在グループAで2位を走っている。
セルビアは監督の手腕で変わったのは間違いない
ではセルビアは何が変わったのか。それはもちろん監督の手腕である。
ブラジェビッチが指摘した通り、セルビアには才能ある選手が多くいる。所属がビッグクラブであるかはともかく、欧州主要リーグで活躍している選手たちであることは間違いない。