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《志半ばで倒れた仲間に捧げたEURO優勝》視聴占拠率は83.6%! イタリア53年ぶりの熱狂を生んだアッズーリの“家族のような絆”
posted2021/07/19 11:01
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
「おはようございまーす! 僕たち、カンピオーネ・デウロパ(=ヨーロピアン・チャンピオン)だ!」
イタリア代表がEURO2020で優勝した翌朝、近所のバールへ我が家の子供たちと出かけた。元気な挨拶に店の客全員が振り向き、「おはよう、チャンピオン!」とにっこり挨拶を返してくれる。
カウンターの向こうからは、馴染みの店主がやはりえびす顔で「欧州チャンピオン、今朝はエスプレッソとカプチーノ、どっちにする?」と僕へ注文を聞いてきた。
嬉しくて嬉しくて、誰もが言葉の端々に“自分たちが王者だ”と付け加えずにはいられない。心の底から溢れ出る幸福感。
行政側はパレードを認可していなかったが
イタリア国民にとって大団円で終わったEURO2020決勝戦の翌日は、アッズーリを応援した者全員が欧州王者を名乗れる日だった。
ロンドンでの決勝戦を終えたロベルト・マンチーニ代表監督以下イタリア代表一行は、12日の朝7時、純銀の優勝トロフィーとともに首都ローマのフィウミチーノ空港へ降り立った。
ホテルで一時休息をとった後、夕方5時からセルジョ・マッタレッラ共和国大統領とマリオ・ドラギ首相それぞれの官邸に出向き、祝勝報告セレモニーをはしごした。公の労いと祝福を受けることは、彼ら自身とその家族にとって社会的に大事な意味がある。
その後、代表チームは人の波で埋まったローマ市内の目抜き通りでの凱旋パレードに臨んだ。行政側はパレードを認可していなかったが、ファンに直接顔を見せる形で優勝を報告したい選手たちの強い要望によって強行され、沿道は熱狂の渦に。
近日中にFIGC(伊サッカー連盟)は当局からきついお叱りを受けそうだが、当の選手たちはもうとっくにバカンスへ旅立った後だ。