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ピクシー監督の「母国セルビア2つの改革」 ジダンやシェフチェンコのように名手→名将へ〈EURO予選敗退国もアツい〉
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byREUTERS/AFLO
posted2021/07/17 17:02
6月の日本代表戦で熱血指導するストイコビッチ監督。ピクシーの下でセルビアは復活なるか
セルゲイ・ミリンコビッチ・サビッチは今やラツィオのスタープレイヤーといってもいい存在。バレンシアで本格開花したウロシュ・ラシッチはセルゲイと同じく1m90cm超えの高身長で、ヘタフェのネマニャ・マクシモビッチも189cmと大柄なMFが揃う。
ネマニャ・マティッチやルカ・ミリボイェビッチの代表引退が問題にならないほど充実のタレント達だ。
アヤックスのキャプテン、ドゥシャン・タディッチというチャンスメイクに長けたベテランの存在もあり、前線にはフラムのミトロビッチが君臨。またフィオレンティーナで昨季セリエAで21ゴールを挙げたドゥシャン・ブラホビッチや、フランクフルトで復活しつつあるヨビッチら若く優秀なセンターフォワードもいるのだ。
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持て余してしまうほど豪華な顔ぶれだが、ストイコビッチは彼らを的確に起用。アイルランド戦では途中出場したミトロビッチが2ゴールを挙げて勝利に導くと、ポルトガル戦で後半から途中出場したネマニャ・ラドニッチが2アシストで試合の流れを変えた。
また7日間で3試合という過密日程をこなすため、初戦は主力の多くを温存した。いかに選手を休ませつつ勝利できるかという、ナショナルチームを率いるうえで必要なマネジメントも心得ているのだ。
「ミーティングを誰か撮影してくれたら」
そしてもうひとつ、従来の監督になかったものがある。
ミトロビッチやタディッチら主力選手は監督について「カリスマ性がある」と口をそろえるのだ。
タディッチはアイルランド戦前の公式会見で「昨夜のミーティングを誰か撮影してくれてたらよかったのに」と冗談めかした。
「監督の自信、カリスマ性、魅力――チームの誰もがそれを感じたと思う。僕らはしっかりと耳を傾け、吸収し、彼のアイデアを実行したいと思っている」
例えばここ数年のレアル・マドリーがジネディーヌ・ジダンのもとでしか成功できないように、指揮官が放つカリスマ性は多彩なタレントを束ね、同じ方向を向かせるのに大きな役割を果たす。