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「二番煎じでは需要がなくなるだけ」29歳になった柳田将洋が語る新しい目標…バレー界の“リーダー”としての期待
posted2021/07/06 11:03
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Takahisa Hirano/AFLO
2021年7月6日、柳田将洋は29歳になった。
春高優勝で注目を浴びた17歳から早いもので12年。一躍脚光を浴びたワールドカップやVリーグ優勝と、輝かしいキャリアを持つだけについ過去の軌跡を振り返ってしまうが、新たに歳を重ねる誕生日はこれからに向けた一歩を踏み出す大事な区切りでもある。
柳田が新たに掲げる目標はアジアクラブ選手権制覇とVリーグ連覇。だが、視線の先はバレーボールだけに留まらない。
「今のままでは、僕は“オリンピック出場”の肩書はつかない。だったら他で勝負できるものを見つけていかなきゃいけないし、たとえオリンピックの日本代表でなくてもこういうことができる、と幅も見せられるようにならないと。バレーボールの成績を残すことはもちろん大事で、そのための努力、できることをするのは当然ですが、そこにプラスして今はインプットの時期でもあると思うので、いろんな人の話を聞いたり、興味があることに取り組んでみたり。ポジティブに、考える時間が増えました」
意識して増やした“インプット”
慶應大で同期だった山縣亮太(陸上100m東京五輪代表)など、バレーボール選手の中では交友範囲も広いほうではあるが、中学、高校、大学とバレーボール部に属していれば必然的にコミュニティは狭くなる。柳田は3年ぶりに日本へ復帰した昨年から、インプットの機会を求めてきた。他競技の選手や会社経営者など、さまざまな分野で活躍する人たちと対話を重ね、多くの気づきを得た。柳田の声は弾む。
「今は業界の垣根もどんどんなくなっているじゃないですか。たとえば経営者の方と話していると、僕たちがいくら束になっても出てこないような意見がどんどん出てくるし、ITやAI、いろいろなことが進化している中だからこそ、アイディアを共有できればスポーツの可能性ももっと高まるはずです。
確実に時代は進んでいて、TVゲームもスポーツと言われる時代になっていますよね。時代が進む中で立ち止まっていたら常に誰かを追いかけないといけないし、誰かが通った道を歩いても、ただ歩きやすいだけで先見性はない。二番煎じを繰り返しても、見る人に面白くないと思われたら、需要がなくなるだけです。低いハードルを越えても、得られる評価もハードルの高さと同じで低いまま。やっぱり、ワクワクすることがすごく大事だと思います」