振り返ればこれまで歩んできた道のりは、決して真っ直ぐではなかった。

リオ五輪の出場権を逃し肩を落とす柳田ら　©AFLO SPORT

　中学は中高一貫校だったが、そのまま進学せずにあえて強豪の東洋高を選び、春高制覇を達成。大学はバレーボール以外の選択肢も増えるように慶應大へ進んだ。そこから日本代表選手として本格的なキャリアをスタートさせ、ワールドカップで鮮烈な印象を残したが、リオ五輪出場に導けなかった。最終予選で味わった悔しさを晴らすべく、自らのため、日本が強くなるために海を渡り、再び日本で頂点に立った。

　しかし、東京五輪にあと一歩届かなかった。自身でも「寄り道の多い人生なんです」と笑う。

「やりたいことはあるけれど、そこに向かって今から一直線に進むのではなくて、まずは選手としてファーストキャリアをがんがん続けて、とにかくやりきる。その過程で、いろんな関係性が築かれて、その時々の点と点がつながると思うので。たくさんのつながり、いくつかの点を、最終的にいい形で結んでいけたらいいな、と思いますね」

　言葉の比喩やチョイスに、いつもながらセンスが溢れる。そう指摘すると、画面越しの表情が崩れた。

「これ、スティーブ・ジョブズの真似です（笑）。（スタンフォード）大学の卒業式の有名なスピーチだから、僕の言葉じゃないですけど。でもやっぱり、こういう人たちの言葉も考えも、参考になりますよ」

　後になって振り返った時、何が活きてくるかわからないのが人生だ。

　点と点を結んだ先に、どんな未来が広がるのか。たとえ一つの夢が破れようとも。柳田の20代最後の1年も、すべて必要で、大切な日々であることに、何ら変わりはない。

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