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「プロとしての責務を…」無言で立ち去るデシャンボーを米メディアが批判…選手とメディアの関係で“必要なこと”とは?
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2021/07/06 17:00
ユニークで気の利いた返答でメディアをにぎわせてきたデシャンボー(写真は3月のザ・プレーヤーズ・チャンピオンシップにて)
デシャンボーと米メディアの関係は、いいようでもあり、悪いようでもある。
独自の科学的理論に基づいて、同一レングスのアイアンを使い、肉体を巨大化してパワーアップし、360ヤード、370ヤード、果ては400ヤード超をかっ飛ばすデシャンボーは、メディアにとっては「ネタの宝庫」だ。そんな彼が堂々勝利したときは、大勢のメディアが一気に群がる。
そういうときのデシャンボーは、実にユニークで気の利いた返答をするため、メディアは、みな大喜びで質問を重ねていく。
しかし、その一方で、ゴーイング・マイ・ウェイなデシャンボーには、「出る杭」が叩かれやすいように、往々にして厳しい視線が向けられてきた。
米ツアーにデビューして間もないころは、手にしていたパターが「ルール違反だ」と指摘され、その次は、パッティングの際のストロークも「ルール違反なのでは?」と書かれ始め、結局、デシャンボーはパターもストロークも変更した。
その次は、デシャンボーのスロープレーぶりがことごとく批判され、マナーやエチケットも批判された。
昨年のロケット・モーゲージ・クラシックでは、自身のミスショットに激怒している様子を撮影されたデシャンボーが「メディアは選手のブランドイメージを守るべきなのではないのか?」と憤慨したところ、メディアから「事実や真実を報じるのがメディアであり、メディアは選手のブランドイメージを伝えるための広告屋ではない」と逆襲された。
その後、デシャンボーのスロープレーを批判したブルックス・ケプカとの確執も、ことあるごとに報じられ、デシャンボーとメディアの間の溝はどんどん深まっていった。
昨年の全米オープン勝利で、そうした溝やモヤモヤは払拭されたようにも感じられたが、どうやらそうではないらしい。
根が真面目なデシャンボー
昨年以上に激化しているデシャンボーとケプカの確執、そしてデシャンボーの飛距離や体重に関することは、常に面白おかしく取り上げる一方、聞かれたくないことを次々に尋ねてくる米メディアにデシャンボーはうまく対応しきれていない様子だ。
根が真面目なデシャンボーは、メディアを適当にあしらうこともできず、対応の仕方に戸惑っているのかもしれない。わからないから、とりあえず黙るしかないと思っているのかもしれない。
だから、大崩れした全米オープン最終日、彼は取材を拒否して無言で去っていった。ロケット・モーゲージ・クラシックでは、相棒キャディとの突然の決別の理由を語らず、予選落ち後は、やはり無言で去っていった。