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久々の対面取材に秋山翔吾とダルビッシュ有は何を語った? 「元通りを目指す」MLBで見た“新たな問題”〈現地レポート〉 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2021/06/22 06:00

久々の対面取材に秋山翔吾とダルビッシュ有は何を語った? 「元通りを目指す」MLBで見た“新たな問題”〈現地レポート〉<Number Web> photograph by Getty Images

米国で新型コロナウイルスのワクチン接種が進むなか、メジャーリーグの取材制限も徐々に緩和されてきたという

 それらの野球場では解除に伴い、「再・開幕戦」、「開幕戦2.0」などと銘打って、花火大会や入場料を格安にするなどのプロモーションを打って集客に努めた。カブスの本拠地リグリーフィールドでは、映画『ゴーストバスターズ』や新宿を舞台にした『ロスト・イン・トランスレーション』などで有名なコメディアンで映画俳優のビル・マレーが、7回の攻撃を前に「Take me out to the ball game」を観客と共に歌い、そのままテレビの解説者席に座ってこう言っている。

「投球の合間にざわつく満員のスタンド。ホームランを打った後のお祭り騒ぎ。僕らが愛しているのはこの雰囲気であり、ボールパークってのはこうでなくちゃならない」

「ワクチン接種」の選択権と生じる偏見

 メジャーリーグ=野球場の内側とアメリカ社会=野球場の外のビジネスが、元に戻ろうとする流れは止まることはない。ただその中で、新たな問題も抱えている。

 カブスではワクチン接種をしなかったアンソニー・リゾ一塁手やジェイソン・ヘイワード外野手をオンライン会見場に連れ出して弁明させたり、チームとして「我々は彼らの選択を尊重している」とコメントを出している。元通りに戻そうという流れがあるなかで、彼らの選択が偏見の対象になりうるからだ。「ワクチン接種したら、もう大丈夫」という考えは、それが正しいかどうかということとは別に、ワクチン接種をしない人々への偏見が生じる危険性もはらんでいる。

 だが、少なからず一部の選手たちがこうして自らの意思を表明している一方で、メディアに選択の余地はない。もしも、その記者やテレビ関係者がグラウンドでの対人取材で独自ネタを拾いたいのなら、ワクチン接種は不可避になっている。実際、カブスのリゾやヘイワードのように接種自体に疑問を持ちながらも、「仕事にならないから仕方ない」と接種した人もいる。そういった状況は一般のアメリカ社会を反映したもので、レストランのウエイターやタクシーの運転手などの接客業の人々も、同じように見える。

マスクなしの観客席が戻ったけれど……

 6月17日、パドレスの本拠地球場が収容人員の制限を解除し、今季最多の4万人超えの観客が詰めかけた。劇的な逆転サヨナラ勝利に沸き返る観客席で、マスクをしている人はほとんどいないように見えた。

 ワクチン接種でメジャーリーグというビジネスは劇的に変わり、アメリカ社会も変わったのだ。感染者が拡大しようが、変異種が広がろうが、誰も責任を取ってくれないのに、「腑に落ちない=It doesn't make sense.(意訳)」という共通認識を持ちながら――。

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