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久々の対面取材に秋山翔吾とダルビッシュ有は何を語った? 「元通りを目指す」MLBで見た“新たな問題”〈現地レポート〉
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2021/06/22 06:00
米国で新型コロナウイルスのワクチン接種が進むなか、メジャーリーグの取材制限も徐々に緩和されてきたという
「痩せた、痩せたって言われるんだけど、ここに来たらカブスの人から『いい感じやん』みたいに言われる」
精悍な表情が際立っていた。そこから「筋出力」や「クレアチン」や「カフェイン」といった言葉が次々に出てくるところが“ダルビッシュらしくて”懐かしかった。
“元通り”にはならない取材現場の最前線は?
こんな風に選手と直接話せるようになった一方で、取材の現場は“元通り”にはならない。パドレスの番記者は、少し前「サンディエゴでは記者が観客席に降りてはいけないことになっている」と話してくれた。
「ワクチン接種のお陰でレッズの地元シンシナティ@オハイオ州、ロッキーズの地元デンバー@コロラド州、ナショナルズの地元ワシントンD.C.などでは、観客席に降りて取材できるのに、どうしてサンディエゴだけダメなんだ?」
州によって感染防止策に違いがあるのは承知していたので驚きはしなかったが、「観客席にファンの入場を認めているのだから、腑に落ちない」という共通認識がサンディエゴ以外のメディアにはあった。
そして、この「腑に落ちない=It doesn't make sense.(意訳)」という意識は、メジャーリーグのメディアだけでなく、アメリカの社会全体にも急速に広がっているように感じる。
6月7日からはワクチン接種を終えていれば、試合前に限ってグラウンドに降りての対人取材が許されるようになった。マスク着用義務については全米野球記者協会とメジャーリーグ機構の間で議論があったそうだが、「Tier 1&2」と呼ばれる選手や関係者(=新型コロナウイルス検査を義務付けられている人)と、検査が義務付けられていないメディアや観客が接触する可能性を考慮。野球場の外ではマスク着用義務が外された一方で、フィールドに降りるメディアについては着用が義務付けられた。
ワクチン接種者が町の人口の半数前後になった辺りから、野球場への入場者数の制限の解除もどんどん進行した。
開幕時に入場制限がなかったのはレンジャーズの地元アーリントン(テキサス州)だけだったのが、5月7日にブレーブスの地元アトランタ(ジョージア州)、同25日にダイヤモンドバックスの地元フェニックス(アリゾナ州)、同29日にレッドソックスの地元ボストン(マサチューセッツ州)、同31日にロイヤルズの地元カンザスシティー(カンザス州とミズーリ州)、6月2日にはレッズの地元シンシナティ(オハイオ州)、6月11日にはカブスの地元シカゴ(イリノイ州)、6月17日には大谷選手がプレーするエンゼルスの地元アナハイム(カリフォルニア州)などが続々と人数制限の解除に踏み切った。