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高校でも大学でも、東京五輪でも侍ジャパン…エリート代表格はカープ森下暢仁、ではなぜか縁がない人は?【柳田も大舞台は初】
text by
西尾典文Norifumi Nishio
photograph bySankei Shimbun
posted2021/06/20 11:02
2015年、U-18W杯キューバ戦に登板した森下暢仁。明治大時代にも日本代表を経験した
柳田は明らかに故障が原因だが、その問題がなくてもなかなか縁に恵まれない実力者たちもいる。
現役のトッププレイヤーでは鈴木大地(楽天)がその代表格だろう。
プロ入り2年目からレギュラーを獲得すると、それ以降の8年間で6シーズン全試合に出場。ベストナインに3度、ゴールデングラブ賞にも2度輝き、内野ならどこでも守れるユーティリティプレーヤーとしてこれ以上のレベルの選手は他にはいない。
東洋大時代には大学日本代表(侍ジャパンという名称に統一される前)に選ばれた経験もあるが、プロ入り後は不思議と侍ジャパンのトップチームとは縁がないのだ。
今年も交流戦終了時点でリーグ8位の打率をマークしており、好調をキープしている。ユーティリティプレーヤーの枠として重宝されていた外崎修汰(西武)が故障で離脱しているだけに、その穴埋めとして鈴木を呼ぶということも十分に考えられたはずだ。
もう1人は宮崎敏郎(DeNA)だ。
2017年に首位打者を獲得し、過去4年間で3度も打率3割をクリアしているように、打撃技術ではセ・リーグでも屈指のものがある。侍ジャパンのサードは近年、松田宣浩(ソフトバンク)が務めていたが、その後釜として候補になってもおかしくない存在だ。
この2人が選ばれない理由を考えると、脚力と守備範囲の広さの問題ということになりそうだが、まだまだ実力は衰えていないだけに今後の国際大会で招集される可能性は十分にあるだろう。
各年代に代表チームがある意義
冒頭でも触れたように、サッカーほど国際大会の舞台は多くないが、それでも代表チームを常設化したことに大きな意義があったことは間違いない。
以前はプロでもオールスターくらいしか他球団の選手と接する機会はなかったが、代表チームで一緒にプレーすることで互いのレベルアップに繋がる点もあり、育成年代にとっても選手間が交流を持つ場として非常に貴重である。NPBと他のカテゴリーの連携強化に繋がるという効果もあるはずだ。
また、昨年のドラフトではU12侍ジャパンの経験者として初めて嘉手苅浩太(ヤクルト)もプロ入りを果たしており、サッカーのように各年代の代表をコンプリートする選手が出てくることも期待できるだろう。
今後もU18と大学代表の間で行われた壮行試合のように、年代を越えての交流の機会をさらに増やすことで、日本の野球界全体の活性化に繋がっていくことを期待したい。