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ラグビー日本代表で観たいSO山沢拓也の“特別な才能”とは? 「2023年」に必ず求められるだろう“Xファクター”の最有力 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2021/06/20 17:00

ラグビー日本代表で観たいSO山沢拓也の“特別な才能”とは? 「2023年」に必ず求められるだろう“Xファクター”の最有力<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

サンウルブズの一員として出場した日本代表戦でチャンスを多く演出したSO山沢拓也

 では、山沢は、これだけのパフォーマンスを見せても、もうジャパンには呼ばれないのか? 案外、可能性があるのでは……と記者は見ている。

 5月24日に行われたオンライン会見で、ジェイミー・ジョセフHCは言った。

「9月からは、秋のテストマッチシリーズに向けて16週間の合宿を行う予定だ。そこにはたくさんの選手が入ってくるだろう。個人の名前は出したくないが、すべての選手にチャンスがあると思っている」

 今回の欧州遠征は、2019年W杯のあと初めて迎えるシリーズだ。通常のサイクルなら、4年後のチームがどんな顔ぶれになっているかをにらみ、新戦力を試しながらじっくりとリスタートを切るところ。だが、コロナ禍で丸1年以上もの間、代表活動ができなかった現在の日本代表が置かれている立場は「通常」ではない。

 しかも、わずかな準備期間で迎える初戦の相手は、世界ラグビーのドリームチームであるブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズだ。この相手に勝とうとするなら――控えめに言ってもいい試合をしようとするなら――計算できる、戦い慣れたメンバーで臨もうとするのは当たり前の発想だ。

 ジェイミー自身、サンウルブズ戦の前にこう言っている。

「前回のW杯で8強を勝ち取った選手は、W杯のあとの最初の試合に出る権利があると思っている」
「戦術は基本的には前回W杯と大きく変えるつもりはない。それを理解している選手はアドバンテージを持っている」

 今回のライオンズ戦は、W杯8強入りという結果を出した選手で臨む試合であり、2023年に向けたチーム作りが始まるのは9月以降なのだ。もちろんライオンズ、その次のアイルランドと戦う選手には評価を上げるチャンスがあるが、今回外れた選手に扉が閉ざされているわけではない。

 その先は、日本代表が(ジェイミーとコーチのトニー・ブラウンが)選手に何を求めるかにかかってくる。焦点は、特に10番に関して言えば、これまでと同様に、与えられた戦術の遂行を要求するのか、自ら意志を持って判断していくことを求めるのか。

今後、求められるだろう“Xファクター”

 日本代表戦を終えたサンウルブズの大久保直弥HCは言った。

「戦術を決めすぎないのが良かったと思う。時間がなくてできなかったこともあるけれど、そもそもサンウルブズは準備の時間が足りない中でどう戦うかということをテーマにやってきたチームですから。選手の個性を活かすしかない」

 W杯が同じ条件で行われるわけではない。戦術はブラッシュアップしていく必要があるだろうし、ジェイミーとブラウニーはすでにその作業に着手しているはずだ。だが、試合はすべてが想定した通りに進んでいくわけではない。

 まして、前回大会で8強というステージに進んだ日本代表は、これまで以上に相手の分析、対策にさらされる。前回以上の成績を望むなら、ブラウニーの練りに練った戦術をベースにした上で、攻防の状況に対して瞬時に反応すること、事前の準備を越えた要素=Xファクターが必要になるだろう。その候補のひとりに、山沢は入ってくるはずだ。

 局面を一気に変えてしまうひらめきあふれたアタック。キックとラン。背番号は10、15、あるいはもっと大きな番号――つまり途中から入ってくるインパクトプレーヤーという位置づけ――であれ。

【次ページ】 10番争いの先頭に立つ山沢

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