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2020年ドラフト組は“大豊作”… 佐藤輝明に栗林良吏、早川隆久+2年目の宮城大弥ら新人王争いがハイレベルすぎ
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph bySankei Shimbun
posted2021/06/15 11:03
交流戦で実現した早川隆久vs佐藤輝明。大物ルーキーの活躍から中盤戦以降も目が離せない
安打数で見ると、佐藤輝を上回る“あの選手”
<セ・リーグ、安打数>
1 牧秀悟(De)64試248打73安11本35点0盗 率.294※
2 佐藤輝明(神)60試226打62安16本44点5盗 率.274※
3 中野拓夢(神)53試165打48安1本15点13盗 率.291※
4 羽月隆太郎(広)26試82打24安1本9点6盗 率.293
5 根尾昂(中)50試133打23安1本12点0盗 率.173
6 元山飛優(ヤ)43試87打20安2本13点2盗 率.230※
7 林晃汰(広)15試51打16安2本6点0盗 率.314
8 宇草孔基(広)14試46打13安1本4点5盗 率.283
9 松本友(ヤ)27試34打12安0本2点1盗 率.353
9 中村奨成(広)20試35打12安0本3点3盗 率.343
ルーキーの2選手が規定打席に到達し、阪神の中野も規定打席まであと2打席足りない状態。後述するがこれはすごいことだ。
DeNAの牧は昨年のドラフト2位、新型コロナ禍で外国人選手の来日が遅れたこともあり開幕から3番一塁で出場すると、3、4月に6本塁打22打点の活躍。外国人が復帰してからは二塁を守り、6月は打率.362で再浮上しつつある。
その牧を上回る活躍を見せているのが、阪神の佐藤である。
昨年のドラフトの目玉だったが、現時点で本塁打数は4位、打点は3位と予想以上の活躍。それ以上に新人らしからぬ貫禄で、貧打線が続いた阪神に、喝を入れる形となった。
さらに阪神は守備の要、遊撃にもルーキー中野拓夢を抜擢。中野は昨年のドラフト6位で、全くの無印だったが、広い守備範囲に加えて広角打法でレギュラーの座をつかんだ。
ルーキーが規定打席に達するだけでも快挙
そもそもルーキーは、規定打席に到達すること自体が至難の業ではある。
21世紀以降では2001年の阪神・赤星憲広から昨年の楽天・小深田大翔まで両リーグでわずか12人だけ。同一リーグで複数のルーキーが規定打席に到達するとすれば、1999年セ・リーグの巨人・二岡智宏、中日の福留孝介以来22年ぶりである。
もし3人となれば1969年セ・リーグの阪神・田淵幸一、広島・山本浩司(のち浩二)、中日・島谷金二以来、実に52年ぶり。同じチームで2人のルーキーが規定打席到達となれば1962年、東映の岩下光一、青野修三以来59年ぶりだ。
セの新人王争いは阪神の佐藤が本命だろうが、対抗は現時点では広島の栗林だろう。また牧が打率3割をマークすれば可能性が出てくるだろう。
昨年のドラフトの時点で「豊作」との評判はあったが、「歴史に残る」とまではいわれていなかった。しかし、現時点では近年にない大豊作年になりつつある。
NPBでは新人王争いで敗れても、特筆すべき成績を残した選手は「特別表彰」という形で讃えている。今季は特別表彰選手が複数出るのではないだろうか。
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