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女子ソフトボール日本代表、異例の“捕手3人制”戦略とは 「上野の413球」から13年越し“連覇”のカギを握るのは?
posted2021/06/07 17:00
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Kyodo News
上野由岐子の413球の熱投でソフトボール日本代表が悲願の金メダルに輝いた2008年北京五輪から13年。東京五輪で“連覇”に挑む日本代表の中で今回大きく注目されているのが「捕手トリオ」だ。
今年3月にあった東京五輪の日本代表候補発表。宇津木麗華監督が選んだ15人のメンバーの中には、実に3人の捕手の名前が並んでいた。
我妻悠香(ビックカメラ高崎、26歳)
清原奈侑(日立、30歳)
峰幸代(トヨタ自動車、33歳)
この3選手だ。日本は過去に出た五輪4大会ではいずれも投手4人、捕手2人だった。今回は投手を3人に減らして捕手を1人増やすというサプライズ構成。捕手3人は世界的に見ても珍しいという。
宇津木監督はどのような意図を持ってこの構成にしたのか。
宇都木監督の哲学「キャッチャーは第2の現場監督」
まず前提として理解しておきたいのは、大会レギュレーションが変わったことだ。東京五輪の出場チーム数は従来の8チームではなく6チームになり、それに伴って試合数が最大10試合から最大6試合と少なくなった。また、北京五輪まで採用されていた敗者復活のある「ページシステム」がなくなり、ダブルヘッダーもなくなった。
振り返れば、北京五輪の時の日本は準決勝でアメリカに敗れた後、同日にダブルヘッダーで行なわれた決勝進出決定戦でオーストラリアに勝ち、翌日の決勝でアメリカにリベンジ勝利を収めて金メダルを獲得した。いうまでもないが「上野の413球」とは準決勝から決勝までの2日間3試合の投球数である。
今回、投手を1人減らしたことには、選ばれた3選手(上野由岐子、藤田倭、後藤希友)への信頼感が高いという大前提がある。そのうえで捕手を3人にした背景には、宇津木監督の「キャッチャーは第2の現場監督」という哲学がある。