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外国勢との実戦“ゼロ”で五輪に臨む新生ホッケー女子代表…それでも目標を「金メダル」に掲げる理由
posted2021/06/13 11:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
6月7日、日本ホッケー協会は東京五輪の男女日本代表各16人を発表した。
女子日本代表「さくらジャパン」は昨年10月、アンソニー・ファリー監督が退任。12月にチャビ・アルナウ氏が新たに監督に就任して、1年たたずして五輪を迎えることになる。
当初はコロナ禍により、アルナウ監督の来日は叶わなかった。今年1月に日本代表選考会を実施したが、監督はオンラインで参加して候補選手を選出。その後も遠隔での指導を余儀なくされ、3月にようやく来日となった。
今回の代表選考も通常のようにはいかなかった。少ないながらも海外遠征の機会があった男子と異なり、女子は予定していた海外遠征や国内での海外チームとの練習試合がことごとく中止。結果、新監督就任後、海外のチームと一度も実戦の機会がないまま、合宿などを参考とする代表選手選考を余儀なくされた。
アルナウ監督も「この状況はすごく厳しいです。選手は1年半、国際大会を経験していません。状況はネガティブです」と認める。
それでも、こう語る。
「ネガティブではあるけれど、ポジティブにいこうと思います。私はヨーロッパ勢の試合をチェックしていますが、相手は日本代表のプレーを見ていません」
相手を知る機会があったか否か、そこをポジティブに捉えようとしている。
選手も意気軒高だ。
主将を務める真野由佳梨は言う。
「応援してくれる人の心を動かす試合をして、金メダルを獲得できるように頑張りたいと思います」
リオ五輪1次リーグ敗退の蹉跌
真野はリオデジャネイロ五輪にも出場しているが、メダルを目標に掲げつつ届かず、苦い思いを抱いていた。
「個人のスキルも、チーム力もまだ足りていなかったと思います」
その後、果たせなかった思いを東京でかなえたい、リベンジしたいという一心で取り組んできた。その過程があるから、下を向いてはいられない。
今回の代表発表で、注目されたのは「3きょうだい」の選出だった。真野と同じくリオデジャネイロ五輪に出場したFWの永井友理、MFの葉月の姉妹。そして五輪代表初選出となる男子の祐真である。