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女子ソフトボール日本代表、異例の“捕手3人制”戦略とは 「上野の413球」から13年越し“連覇”のカギを握るのは? 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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posted2021/06/07 17:00

女子ソフトボール日本代表、異例の“捕手3人制”戦略とは 「上野の413球」から13年越し“連覇”のカギを握るのは?<Number Web> photograph by Kyodo News

上野由岐子(中央)ら女子ソフトボール日本代表は北京五輪に続く連覇を狙う。我妻悠香(右から2番目)をはじめ捕手3人がカギとなるか

捕手を3人にしたもう1つの理由

 さて、宇津木監督が捕手を3人にした理由はまだある。それはコロナ禍による国際試合の消滅だ。海外を見回せば、今年4月にイタリア対カナダの試合が行なわれるなど、ライバル勢の中には対外試合を行なっているチームもあるが、日本はこの1年、国際試合をできないままに過ごしてきた。

 データに多くを頼れない状況下では、“第2の現場監督”であるキャッチャーの発想力に依る部分が大きくなる。宇津木監督は「3人のキャッチャーは、それぞれ持っている能力が違う。3人がいろいろな発想を出してくれたら、一番の力になるのではないか」と大きな期待を寄せている。宇津木ジャパンは東京五輪をバッテリー強化と頭脳戦で勝ち切っていこうという考えなのだ。

 国際経験が豊富な峰は、恩師である宇津木監督の意図をしっかりとくみ取りながら、このように言う。

「東京五輪では自分自身が直接対戦したことで得られている情報量が少ない。自分以外からの情報と、その場で感じる情報を合わせながら、この時このバッターならこうしそうだという判断を、早くしていかないといけない。それを3人の捕手で共有しながら事前準備をしていきたい」

五輪開幕は着実に近づいている

 東京五輪まであと1カ月半となった。6月1日にはソフトボールのオーストラリア代表チームが五輪本番に向けた海外選手団の入国第1号として来日し、ホストタウンである群馬県太田市での事前合宿をスタートさせた。オーストラリアは五輪4大会で表彰台に上がっている強豪国であり、東京五輪では日本の開幕戦の相手となる。五輪に関する不透明感は依然として漂っているが、開幕は着実に近づいている。

 日本チームは5月に続いて6月7日からまた国内強化合宿を始める。そこでは日本リーグ選抜との練習試合も予定している。目指すのは自国開催の東京五輪で金メダルを獲り、ソフトボール界を盛り上げていくこと。3人の捕手たちは束になって、日本代表を“リード”していく覚悟だ。

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