オリンピックPRESSBACK NUMBER
女子ソフトボール日本代表、異例の“捕手3人制”戦略とは 「上野の413球」から13年越し“連覇”のカギを握るのは?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byKyodo News
posted2021/06/07 17:00
上野由岐子(中央)ら女子ソフトボール日本代表は北京五輪に続く連覇を狙う。我妻悠香(右から2番目)をはじめ捕手3人がカギとなるか
捕手3人はそれぞれの特徴から選出された
宇津木監督は選出した3人の捕手の特徴をこのように評している。
まず正捕手の我妻については「性格が優しく、ピッチャーからすれば投げやすい」
北京五輪優勝時に上野とバッテリーを組んで金メダルを経験している峰に関しては「豊富な経験があり、いざ何かあった時の強さを持っている」
“意外性”を買っての選出だとしているのは清原。「彼女には独特の考え方、多彩な発想力があり、ピッチャーを生かすことができる。特にアメリカは国際ゲームには独特の戦い方でくるが、それに対抗できる斬新な考えを持っている」と言う。
捕手たちも「3人体制」を前向きに受け止めている。
正捕手の我妻は「投手のことを考えると、投手3人、捕手3人というのは1人1人がしっかり準備ができるのですごく良い」と指摘する。もちろん捕手としての立場でも、自分と異なる考え方を持つ同じポジションの選手がいることはプラスに作用すると考えている。
「3人で話していると1人のバッターに対する配球でも、強気のリードだったり、緩急を生かす配球だったり、(清原と峰が)自分と違う考えを持っていると感じる。それを取り入れて勉強していきたいと思う」と言う。
意表を突く配球を期待されている清原は、「試合に出るチャンスがあれば、自分自身が流れを変えることや、監督の指示を確実に内外野に伝えることが必要」と抱負を述べた。この言葉を聞く限り、宇津木監督の意図は既に十分に理解されているようだ。
「年下が気を使うことなく力を発揮できるチームに」
北京五輪でチーム最年少だった峰は今回、捕手の中では最年長となった。峰は「北京五輪の時は伊藤(幸子)さんが32歳でチーム最年長だった。その姿を見ていた」と言い、非常に良い雰囲気だったと述べている。
「北京では最年少の私が伸び伸びとプレーできて、ソフトボールに集中できた。今の私にはベテランと若手の橋渡しという役割もある。年下が活躍できるチーム、気を使うことなく自分の力を発揮できるチームにしたい」と語っている。
峰が自負しているのは、チームメートの細かいところの変化を見逃さない観察眼を持っていること。「投手3人のコンディションを把握しながら捕手同士で共有して、バッテリーの強さをつくりながらやっていきたい」と意欲を示している。