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「ひとつの扉が閉じ、10倍大きな扉が開いた」アトレティコで円熟期のスアレスが語る闘将シメオネと盟友メッシ 

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フローラン・トルシュ

フローラン・トルシュFlorent Torchut

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posted2021/06/03 17:02

「ひとつの扉が閉じ、10倍大きな扉が開いた」アトレティコで円熟期のスアレスが語る闘将シメオネと盟友メッシ<Number Web> photograph by L’Équipe

闘争心やプレーの激しさにおいて、スアレスはシメオネ監督と共通点が多い

――アトレティコでは最年長ですが、ロッカールームでも年長者としての役割を果たしていますか?

スアレス コロナ禍の影響で、ロッカールームで過ごす時間が以前と比べずっと短くなった。練習着を着て家を出て、終わった後も練習着のまま帰宅する。チームメイトと会話する時間はほとんどなく、彼らをよく知ることができない。もちろん練習や試合のあいだは、できるだけ多くコミュニケーションをとろうとはしている。それは僕が彼らに何かを教えたり、自分が正しいと彼らに言いたいからではない。そうではなくて、彼らが気づかずに僕だけが気づいたことを伝えようとしているだけだ。

 僕が彼らにアドバイスすることがあって、彼らも聴く耳を持っていればそれは素晴らしいが。でもたとえそうでなくともまったく構わない。彼らは知性に溢れ、アトレティコでプレーするに値する選手たちだ。ほとんどが代表選手でもある。ときに僕のように経験のあるストライカーにも見えないことを、彼らが気づくこともある。それだけ彼らもメンタル面の準備を怠らず、成功を渇望しているわけだ。

マテ茶が育む絆

――それではマテ茶を一緒に飲む相手はここでは誰ですか(南米では家族や親しい友人とひとつのマテ茶を回し飲みする習慣がある)?

スアレス (笑いながら)今はそういうことはできないよ……。僕は自分の分を用意して、ルーカス・トレイラも彼の分を自分で持ってくる。マテ茶が絆を深める契機であるのは間違いなく、それをきっかけにしてトレイラやホセ・ヒメネス、ジョアン・フェリックス、フェリペらと親しくなれた。トマス・ルマーともよく冗談を言いあっている。

――アトレティコ出身のアントワン・グリーズマンとバルセロナで1シーズンをともに過ごしましたが、彼はバルサにうまく適応できていると思いますか?

スアレス バルサに入ってそれ以前と同じレベルのパフォーマンスを維持するのは簡単ではない。彼は自分がどこに来たかよくわかっている。信頼を得たときにどの点で影響力を発揮できるかも知っている。ここ最近の試合では、監督とチームメイトの信頼を勝ち得ている印象を受けた。だからチームに貢献しているし、チーム内の役割も徐々に大きくなっている。

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