フランス・フットボール通信BACK NUMBER
「ひとつの扉が閉じ、10倍大きな扉が開いた」アトレティコで円熟期のスアレスが語る闘将シメオネと盟友メッシ
posted2021/06/03 17:02
text by
フローラン・トルシュFlorent Torchut
photograph by
L’Équipe
ルイス・スアレスインタビューの後編である。
アトレティコ・マドリーでの充実した日々について。とはいえコロナ禍のなかでサッカーをプレーし続ける難しさについて。さらには彼と通底したメンタリティを持つディエゴ・シメオネ監督や、バルサを離れることで遠ざからざるを得なかった親友リオネル・メッシについて……。スアレスが語りつくした。(全2回の2回目/#1から続く・肩書などは掲載当時のままです)
(田村修一)
――アトレティコには極めてシリアスにプレーするために来たという印象を受けましたが間違っていますか?
スアレス チームメイトや監督、スタッフがその雰囲気を作り出している。僕は配慮されているし評価もされているという気持ちになれる。繰り返すけど同じリーグでプレーするのは気持ちの面で悪くない。
「マークにつくセンターバックはいったい誰なのか?」とか「相手のプレースタイルは?』、『このレフリーはどんな特徴があるのか?」などという疑問を持たずに済む。すべて織り込み済みだから、適応はそう難しくない。
34歳に訪れた第2の青春
――まさか今季も20試合で16ゴール(最終的には32試合に出場して21ゴール。得点ランキングはメッシの30ゴール、カリム・ベンゼマとジェラール・モレノの23ゴールに次ぎリーガ第4位)をあげるとは……。
スアレス これまでのキャリアでもなかなかのシーズンだと思う。ただ、評価は受けたけれどもひとつの数字に過ぎないし、そんなこともあるというだけのことだ。僕が望むのはタイトル獲得で、そのためにアトレティコに来た。チームに何かをもたらすことのできる選手であり続けたい。その目的があるから僕はサポーターたちと同様に気持ちよくなれる。
――マドリードで第二の青春を迎えたという思いはありますか?
スアレス (微笑んで)ああ、ここの人たちにはそう言われている。サッカー選手はキャリアのなかでいくつか異なったサイクルを辿る。ときに求められるパフォーマンスを発揮できないときもあるが、それでも最後は状況を覆して終える。そうなったときにストライカーは雲の上を歩いている気分になる。どんなシュートもゴールインする気がするからだ。今がまさにそうで、他のクラブでも同じような時期はあった。
――20歳のころに戻ったようですか?