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遠藤航のデュエル、鈴木優磨の17ゴール、守田英正の適応力…今季、欧州で飛躍した3人を水沼貴史はどう見る?【海外組の成績リスト付き】
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byGetty Images
posted2021/05/28 11:00
水沼氏が熟考の末、選んだ3人がこちら。それぞれの今季の戦いぶりを振り返った
Jリーグ時代に何度か取材で話をしたことがありますが、彼のキャリアの歩みを見ていると、本当に“いい生き方”をしているな、と感じます。
湘南ベルマーレで鍛えられ、浦和レッズへステップアップ。しっかりとJリーグで実績を残してから海外へ渡りました。ベルギーのシント・トロイデンで現地の評価を確固たるものにして、次に選んだのは当時2部のシュツットガルト。自分を評価してくれるクラブを見極められたことで出場機会にも恵まれた。中心選手としてブンデスリーガに昇格し、今シーズンはチームの核としてリーグ9位の躍進に貢献する。目の前のプレーに集中しながらも、キャリアをデザインする力もある。頭がいいんだろうなあと感心していますね(笑)。
今季の活躍で他クラブから関心を寄せられているかもしれませんが、来季に期待するのはシュトゥットガルトの順位をもう1つ押し上げること。CL、ELの出場権を得られるような活躍をして、選手としての階段を駆け上がってほしいですね。
17ゴールを挙げた鈴木優磨
残念ながら日本代表のリストには名前が載らなかったですが、FW鈴木優磨(シント・トロイデン/ベルギー)の好調ぶりも気になるところです。Jリーグ時代も含めて、キャリアハイとなる17ゴール(得点ランク4位)。チームは15位と奮わない中、欧州の1部リーグでここまでのゴール数を挙げることは決して容易なことではないんです。
《今季の成績》
15位シント・トロイデン
リーグ戦34試合出場(2857分)17G4A
カップ戦1試合出場(90分)
彼の良さは気の強さを前面に出したプレーで、怖さを出せるところ。オラオラなFWの代表って感じ(笑)。そこに、今シーズンのプレーぶりを見ると、駆け引きがうまくなった印象を受けています。味方に生かしてもらう選手なので、その質が上がったことが数字に表れたのではないでしょうか。クロスの入り方、相手DFから消える動き、スルーパスの受け方……自分の特徴を理解させ、ゴールを決める。ストライカーとしてチーム内の信頼を勝ち取ったように感じます。
前述の遠藤や冨安健洋、鎌田大地らがステップアップしたクラブですから、日本でも来季の去就が注目されているでしょう。本人が希望するクラブへ移籍することが一番いいと思いますが、個人的には国は変えた方がいい。2シーズンを戦ったわけですから土台は築けた。どうしてもDFへの慣れがでてくるので、より厳しい環境に身を置く決断はストライカーとして成長するために必要なこと。
本人は「高望みの移籍は100%しない」と着実な考えを持っているようですので、まずはしっかりと出番を得られるクラブを探しているのでしょう。まだ25歳ですから、飛躍の可能性は十分。来シーズンに期待しましょう。