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遠藤航のデュエル、鈴木優磨の17ゴール、守田英正の適応力…今季、欧州で飛躍した3人を水沼貴史はどう見る?【海外組の成績リスト付き】
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byGetty Images
posted2021/05/28 11:00
水沼氏が熟考の末、選んだ3人がこちら。それぞれの今季の戦いぶりを振り返った
もう1人ピックアップしたいのが、今年1月にポルトガルへ渡ったMF守田英正(サンタ・クララ)です。まだ半年間のプレーですが、ボランチながら初出場の試合でゴールを奪うなど“わかりやすい結果”を残していますよね。
《今季の成績》
6位サンタ・クララ
リーグ戦20試合出場(1800分)2G1A
カップ戦1試合出場(90分)1A
遠藤にしても鈴木にしてもそうですが、ある程度環境に馴染めば日本人は活躍できる。それぐらい日本人のレベルは上がっているんです。ただ、加入してすぐに結果を出したということはしっかりと評価したいところ。これまでの多くの日本人選手たちが言葉や文化の壁で苦しんできましたが、すぐにチームに馴染んだ様子を見ると、覚悟を持った移籍だったんだなと感じています。
王者・川崎フロンターレの中でもキーマンとしてプレーしていましたから、クラブを離れるタイミングに葛藤があったはず。しかも、自身も一時期パフォーマンスが落ちた時期もあった。ただ、しっかりと優勝という成績に貢献して、満を持して海外へ挑戦した。いいタイミングでの移籍を後押ししてくれたクラブや周囲への感謝の思いもあるでしょう。
代表でも序列が上がった?
川崎時代はバランサーとしての役割が大きかったですが、前述したようにゴールを奪うなど積極的な姿勢がいいですよね。驚いたのは日本代表でのプレー。もともと技術は高い選手でしたが、自分から前に飛び出すプレーも目立ち、チャンスをものにしたという意味で良いサプライズでした。たった半年ですが、「ポルトガルに行った守田」ではなく「ポルトガルから戻ってきた守田」といった感じでしょうか(笑)。ボランチでコンビを組んだ遠藤との相性も抜群によかったですから、ポイチ(森保一監督)の頭の中でも序列が上がっているのではないでしょうか。
リーグ最終節では自らゴールを決めるなど、終わってみれば6位という好成績に貢献。来季から新設されるECL(ヨーロッパカンファレンスリーグ)予選の出場権も得ています。より多くの人が視察する大会で、他国とプレーできる機会を得たことは今後のキャリアにとっても意義のあることです。楽しみな欧州組がまた1人増えましたね。
吉田麻也に冨安健洋、鎌田大地、伊東純也……他にもいっぱい触れたい選手がいますが、今回はこのあたりで(笑)。彼らの成長が日本代表の強化につながりますし、Jリーグの選手たちにも刺激になる。来シーズンの開幕が早くも待ち遠しいです。
(構成/谷川良介)