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“豪快フルスイングなのに三振せず本塁打量産” オリ吉田正尚はプロ野球70年のデータでも異例すぎ【週刊セパ記録】 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2021/05/18 06:00

“豪快フルスイングなのに三振せず本塁打量産” オリ吉田正尚はプロ野球70年のデータでも異例すぎ【週刊セパ記録】<Number Web> photograph by Kyodo News

田中将大から3ランを放った吉田正尚。これだけのフルスイングなのに三振は少ないという恐るべき打者だ

 吉田は1打席目、田中の内角ツーシームに鋭く反応、一二塁間を抜けるかと思われたが、楽天のセカンド村林一輝が好守備を見せて二ゴロ。田中はノーヒットのまま4回に吉田と2度目の対戦。しかしスプリットを中前に運ばれ、初安打を許す。そして3度目の対戦、走者を2人おいて吉田は田中のツーシームを左中間スタンドに運んだ。

 27歳の好打者がレジェンドと言うべき大投手を完膚なきまでに叩いたのだ。

8本塁打を放っていながら三振はわずかに……

 吉田正尚は、5月16日の時点で8本塁打を放っているが三振はわずか4、三振するよりも本塁打の方が倍も多い。これは21世紀以降のプロ野球では極めて異例だ。

<1950年以降の規定打席以上の選手のHR/SO(本塁打数/三振数)上位5傑>

1951年 川上哲治(巨人)2.50(15本/6三振)
1983年 片平晋作(西武)1.46(19本/13三振)
1951年 大下弘(東急)1.44(26本/18三振)
1977年 若松勉(ヤクルト)1.43(20本/14三振)
1976年 W.ウイリアムス(日ハム)1.35(23本/17三振)

「打撃の神様」川上哲治は1951年に97試合424打席に立って15本塁打を打ったが、三振はわずか「6」だった。これはずば抜けているが、本塁打数が三振数より多い打者は過去に延べ26人いた。しかしこれはすべて20世紀の記録。1989年オリックスのブーマー・ウェルズが1.08(40本/37三振)を記録したのを最後に途絶えていた。

 21世紀に入って、NPBの投手はスプリッター、スライダー、チェンジアップなどの変化球を駆使して三振の山を築くようになった。打者は長打を打つ代償としてそれ以上の三振を投手に進呈するようになったのだ。

 なお21世紀以降のHR/SOの1位は、2001年、広島のルイス・ロペスの0.91(32本/35三振)、続いて2004年、ソフトバンク城島健司の0.8(36本/45三振)だった。

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