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ジーコの現役ラストゴールとアルシンドの予言…相馬直樹監督が語る鹿島アントラーズ「12番を着けたみんなと約束できること」とは? 

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池田博一

池田博一Hirokazu Ikeda

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photograph byJ.LEAGUE

posted2021/05/07 11:02

ジーコの現役ラストゴールとアルシンドの予言…相馬直樹監督が語る鹿島アントラーズ「12番を着けたみんなと約束できること」とは?<Number Web> photograph by J.LEAGUE

日本代表でも活躍するなど、鹿島アントラーズのタイトル獲得に貢献した現役時代の相馬直樹。監督としてチーム再建を託された

「大舞台で手応えをつかんだことで、当然その後のキャリアにおいて『もっと上を目指そう』という気持ちも生まれました。その一方で、どこかで満足してしまった部分もあったのかなと思います。今、思うとね。当時はそんなことをまったく考えていませんでしたが、今振り返ってみると、心のどこかで『これだけやれたから……』という、満足感が出てしまった。上を目指すよりも保守的になるというか……。ポジティブに仕掛ければいいだけなのに、徐々にチャレンジが少なくなっていった気がします。それだけW杯というのは、選手にとって大きな大会だったということですね。特に僕らの年代にとっては、今の子どもたちと違って“W杯=出場する大会”という位置づけではありませんでしたから」

 当時、相馬は26歳だった。もっとも選手として脂が乗ってくる時期で、さらに上を目指してやらなければいけない立場でもある。今ではそう思える。

「あのとき、もっともっとという姿勢が必要だったと思っています。結果的に見ると、自分にとっては95年から99年までに、選手としてのピークが凝縮されている。ただ、もっと長く活躍できなかったかなあと思ったときに、98年で満足してしまったのがあったのではないかというのが、正直なところです」

 だからこそ、現役を引退して解説者や指導者という立場になって思うところがある。

「もっと思い切りやればいいのに」

 もっといける。もっと大胆に上がれる。特にサイドバックに対してはそう見えるという。

「守りに入ってほしくない」

「W杯を経験して、自分のなかで“できた”と思ってしまったことで、その向上心に蓋をしてしまった。ちょっと守りに入るようになってしまった。だからこそ、選手たちに思うことは、本当にもったいないから、“守りに入ってほしくない”ということ。サイドバックの選手だったら、もっと出ちゃえばいいのにって、いつも思う。現役時代によく言われていたのが、アタッキングサードまで入ったら、FWのつもりでプレーしろということ。そこまで入って自分がボールを持ったら、失おうが何しようが積極的に思い切ってやれと。どんな立場であれ、いつも試合を見るときは、サイドバックはもっと出ていいと思って見ています。それは自分の経験から、そう見えるのかもしれない」

 相馬自身、選手時代は「どちらかが上がったら、どちらかは下がる」というつるべの動きをチームとしての基本とするなか、右サイドの名良橋晃とともにどちらが上がるか競い合っていたという。

「名良橋とは、本当に競争でしたよ。どっちが先に上がって仕掛けるか。攻撃に関しては、わざとバランスを崩しにいく。その感覚が強かった。攻撃でバランスを崩しにいくことで、全体の勢いを出す、意外性を出すということ。そこが求められていると感じてプレーしていました」

【次ページ】 監督に就任「もっと上へ」

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