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【メジャー3年目】菊池雄星の「粘り」を生む新フォーム…ヒントは“岩隈久志の立ち姿”と“モンスター井上尚弥の平行移動”?
text by
木崎英夫Hideo Kizaki
photograph byGetty Images
posted2021/04/20 11:01
ゆったりと上げた右足を一度止め、反動を使って踏み込む新フォームに自信を深める菊池
軸足を支える凛とした立ち姿――。昨秋に巨人で現役を引退し、マリナーズの特任コーチとして今春のキャンプで菊池を見守った岩隈久志氏が、投球フォームの肝としていた部分である。バットの芯と軌道を外す頭脳的な投球で日米通算170勝を積み上げた岩隈氏の助言に菊池は勇気づけられた。
想起したことがある。岩隈は、ある日のブルペンでワインドアップからの一球をはさんだ。その理由を「上げた左足がプレートの上でしっかりと止まり体重移動が早くならないための確認です」と説明した。
そういえば、ネットで観戦した今春の選抜高校野球で傾聴に値する解説を聞いた。元PL学園監督の中村順司氏が東海大相模のエース左腕、石田隼都にこんなアドバイスを送っている。
「少し猫背です。ちょっと姿勢をよくするともっと肩が回って腕がよく振れます」
投手が立った姿勢には、体の横降りを抑止し、肘が下がらないための根源的な答えが映っている。
新型コロナウイルスの影響で昨季は60試合制に短縮されたが、今季は通常の162試合制に戻った。2年ぶりの長丁場となれば、疲れや力みなどから生じるフォームの微妙なずれを修正する時期はきっと来る。が、それほどの手間はかかるまい。なぜなら、菊池には日本時代の終わり頃からイメージし続けている「型」があり、それが今のフォームにつながっているからだ。
メジャー1年目の夏だった。菊池はこんなエピソードを添え、軽やかに「型」を説いた。