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大谷翔平は“MLB最強級スラッガー”…データ分析で分かった「打球速度でトラウト&ジャッジ超え」と「一番特徴的な進化」とは
posted2021/04/20 17:30
text by
間淳Jun Aida
photograph by
Getty Images
想像を超え、常識を覆す。日本だけでなく、ベースボールの地・アメリカでも。エンゼルス・大谷翔平がたどり着く境地はどこにあるのか。
二刀流の完全復活を期す大谷は今シーズン、オープン戦から圧倒的な存在感を見せた。直球は160キロを計測。打者としては13試合で打率.548、5本塁打。SLG(長打率)は1.032、OBP(出塁率)を足したOPSは1.604だった。メジャー屈指の強打者の目安とされる1.0を大きく上回った。
シーズンに入ってからも、その勢いは止まらない。
19日(日本時間20日)のレンジャーズ戦では日本ハム時代の同僚・有原航平からホームラン性の大飛球を放ちながらも相手センターのファインプレーにあうなど無安打に終わった。それでも、この日時点で14試合に出場して打率.309、4本塁打、12打点。長打率(SLG.)655、出塁率(OBP.)345で、OPSは.999と「1.0」前後の高水準だ。
特に目を引くのが、本塁打の数と長打率の高さである。3試合に1本塁打のペースで、計17安打のうち長打が9本と半分以上を占めている。
体重が軽い割に打球が速いとされていたが
なぜ、こんなにも長打を量産することができるのか。データから、その秘密を読み解く。カギは「打球速度」と「初球」にある。
「打球の速度が1つのキーワード。これまでも大谷選手は体重が軽いわりに打球が速いとされていたが、トップ選手と肩を並べるくらいの打球の速さになっている。それが好成績につながっている」
こう話すのは、スポーツ科学に基づき野球のデータを解析する「ネクストベース」のトップアナリスト・森本崚太氏。そして、ネクストベース主任研究員で國學院大学准教授の神事努氏も「オープン戦から含めて逆方向への長打が多く、打球の速度もかなり速い」と指摘する。