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実業団若手選手の「移籍」が急増しているのはなぜか? 独禁法違反の恐れを指摘されて水面下では…

posted2021/04/14 17:02

 
実業団若手選手の「移籍」が急増しているのはなぜか? 独禁法違反の恐れを指摘されて水面下では…<Number Web> photograph by JIJI PRESS

全日本実業団駅伝で走る選手たち

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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 4月、各実業団チームには箱根駅伝出身者など多くの新卒選手が入社し、トラックシーズンに突入する。どんな選手がどこに加入したのか、どんな選手が新たに見出されたのか、期待が膨らむ。

 ただ今年はそれ以上に、個人的に「移籍組の動向」が気になっている。というのも、昨年から今年の3月にかけて、実業団の選手とりわけ名前のある選手の移籍が目立ったからだ。

 村山紘太が旭化成からGMOインターネットグループへ、窪田忍がトヨタから九電工へ、川端千都がコニカミノルタからSGHに移籍をした。また、日清食品グループは3月末での陸上部活動休止を発表し、昨年の段階で佐藤悠基がSGHに移籍、最後の部員だった村澤明伸もSGHへ移籍した。DeNA横浜も今年3月にチームを廃部にし、館澤亨次の個人支援のみになり、同チームに所属していた鬼塚翔太らはNTT西日本へ移籍した。

 活動休止になる場合は致し方ないが、トップの実業団は環境的に恵まれているはずだ。それでもなお移籍する背景には、どんな事情があるのだろうか。また、なぜ移籍する選手が増えてきているのだろうか。

移籍は「結果が出ない選手やベテラン選手」が主だった

 これまで実業団の移籍と言えば、チーム内で結果が出ない選手やベテラン選手が中位、下位のチームに移籍するケースが主だった。チームが抱えられる選手の数には制限があるので、力が落ち始めた選手に肩叩きをするのは致し方ない。そういう選手にはチームから話がいくのだが、チームによっては見切りをつけた選手や限界が見えた選手、競技姿勢に問題がある選手には、あえて出ていくような雰囲気を作ることもあるという。選手はそういう空気を感じたり、外に出て心機一転、再浮上するキッカケを見つけていきたいと考えて移籍していく。

 一方で、例えばNDソフトからSUBARUに移籍した照井明人のように、現役バリバリで現在よりもより良い環境を求めて移籍するような選手も増えている。これは、選手個人の価値、実力と移籍先が求めるものが一致すれば別に悪いことではない。移籍元からすると、これまで育成してきたのにと思うところもあるだろうが、より高みを目指して勝負していく姿勢は、競技者として必要な部分でもある。

 しかしこの2パターンとも異なり、最近になって新たな傾向として見られるようになったのが「入社年数の浅い選手」による移籍だ。

大学1年で入社先を決めてしまうことも

 普通の就職にもよくあることだが、会社の仕事をあまり理解しておらず入社してみたらイメージと違ったというミスマッチにより、移籍するパターンだ。選手は入社する前にいろんなことを調べて、様々な実業団を見ておくべきだと思うが、現実にはそれが難しい。

【次ページ】 新規程で生まれた「自由選択」の裏で……

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