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高橋尚子「私には今、ふたつの思いがあります」~レジェンドの本音~

posted2021/04/23 07:00

 
高橋尚子「私には今、ふたつの思いがあります」~レジェンドの本音~<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph by

Shigeki Yamamoto

この夏の東京で活躍を期す選手たち、そしてオリンピアンたちは、かつてない逆風にさらされる五輪を前に、一体何を思うのか。五輪とは、一体いかなる舞台なのか。今こそ、アスリートの話を聞こう。

高橋尚子
女子マラソン シドニー五輪金メダル

 東京オリンピック・パラリンピックへ向けてアスリートたちがこの1年、1%でも可能性があれば突き進みたい、とあきらめずに取り組む姿を見てきました。そして努力が報われるようにと願いながら応援してきました。ただ同時にこの社会に生きる人間として、新型コロナウイルスによって多くの制限や我慢を強いられ、職を失う人もいて、大変な思いをされている方を思うと「皆で頑張りましょう」と言うのは躊躇しています。安心、安全を担保した上で開催することは大切ですし、大会が実現したら大きなメッセージになると思います。ただ、安心安全な開催は当たり前の、前段階のことだと思うのです。その上でみんなが開催したいと思う意義は何だろうとずっと考えてきました。まずは私自身の経験からお話しさせていただきたいと思います。

 私はシドニーオリンピックを人生が大きく変わった瞬間だったと感じていますし、大切なものを得ました。人とのつながりです。マラソンは孤独で距離、時間も長くて大変、と言われますが、決してそうではありません。スタートに立つまでに監督、コーチ、スタッフ、栄養士の方々のサポートがあり、大会を作り上げる人、ボランティアの方々がいて初めて立つことができます。沿道には応援して下さる方がいます。恥ずかしい姿を見せたくない、やってきたことを出したいと背中を押してもらってゴールにたどり着けるのです。いろいろな思いをつないで、たすきをうけとる駅伝のアンカーのような気持ちでしたし、それぞれの人とつながることができたと思いました。

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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