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【どうなる東京五輪】なぜ日本はワクチン接種がG7で圧倒的に最下位なのか…このままなら医療従事者もあと1年以上かかる?
text by
鳥集徹Toru Toridamari
photograph byGetty Images
posted2021/04/12 11:00
多くの国でワクチン接種が進んでいるが、日本では……(写真はイメージです)
厚労省は輸入量が上がっていくことを想定しているが……
高齢者に対しても、果たしてスケジュール通り進むでしょうか。
4月5日に、成田空港に1便あたり最大量となる1700箱(200万回分相当)のファイザー製ワクチンが到着しました。このペースで1週間に1回輸入ができ、これがすべて高齢者の接種に回されたとしても、2回目の接種まで36週必要となります。つまり、半年以上かかることになるので、順調に進んだとしても接種完了は早くて年末になるでしょう。
厚労省は輸入量が上がっていくことを想定しているようで、5月9日までに4000箱、5月10日と17日の週の合計で1万6000箱程度の供給を見込んでいると書かれています。
しかし、新型コロナのワクチンは世界中が必要としています。メーカーや製造国にとって優先すべきは新型コロナの感染者、死亡者の多い国です。日本を含む東アジアは欧米に比べ数十分の1の感染者、死亡者ですから、日本が求める通りの量を送ってくれるとは限りません。
日本はG7の中で圧倒的最下位
現実に、日本は諸外国に比べて接種が進んでいないと指摘されています。4月7日時点で、世界でもっとも接種が進んでいるのがイスラエルで、人口100人あたりの累計接種回数は112.2回(接種完了人数は53.1人)となっています。次がUAE(アラブ首長国連邦)の88.6回(同22.39人)、3位がチリの59.6回(22.12人)、4位が英国の56.0回(8.60人)、5位が米国の50.8回(19.15人)です。
一方、日本は1.1回(0.28人)で、G7(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、カナダ、日本)の中で圧倒的な最下位となっています。なぜ日本は諸外国に比べて、ワクチン接種が進まないのでしょうか。
まず指摘されているのが、国内の臨床試験を必要とするかどうかです。海外では接種を早めようと国内での臨床試験を行わずに海外のデータだけで承認をして、接種をスタートさせました。一方、日本は法律に基づいて小規模な臨床試験が行われ、そのデータも踏まえて承認の手続きが取られました。そのため、諸外国に比べ接種のスタートが遅くなったと指摘されています。