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箱根駅伝出身、現役選手…急増する“ラン系YouTuber”「収入は?」「どう撮影する?」人気ランチューバーに聞く
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTomosuke Imai
posted2021/04/07 06:00
ランニング系YouTubeチャンネル『ランニング食堂』を配信する山田祐生さん
「一番再生されたのは、富士山マラソンで優勝した時の動画(富士山マラソン2019優勝してみた【Part2】・12万視聴)ですね。僕的にも、その翌週に湘南国際マラソンでも優勝できたので、1つのピークかなって思っています(笑)」
先日、富士通の鈴木健吾が2時間4分56秒の日本新記録で優勝して話題となったびわ湖毎日マラソンにも参加した。このレース直前、コンディション調整に苦しみ、途中で練習を止めてしまった山田さんが自分自身にいら立つ動画が公開されている。それはランナーなら誰にでも起こり得ることで、ダメなところ、苦しいところも包み隠さずありのままの姿を見せるのが『ランニング食堂』の良さでもある。その姿に視聴者は自分の姿を重ね、共感して見てしまうのではないだろうか。
ランチューバーだけで生計は立てられるのか?
さらに、動画の中では「お金がないので」とやや自虐的に語り、レース先のホテルを最安値で探したり、練習場で水を買うのを躊躇したり、節約のシーンも出てくる。そこにも市民ランナーのリアルが見えてくるが、ランニング系ユーチューバーの収入とはどのくらいなのだろうか? 率直に聞いてみた。
――ユーチューブだけでは生計を立てていけるものでしょうか?
「難しいですね。同じランチューバーのたむじょーさんは登録者数が約6万人ですが、それくらいになってやっと生計が立てられるぐらいだと思います。今は、トレーナー業と動画の編集とかを請け負いつつ、アルバイトもやって、やっと前に勤めていた会社の給料よりも上かなって感じです。会社にいた時よりも忙しいですし、厳しいですけど、好きなことができて楽しいですし、いろんな人に出会えるので後悔はしていないですね」
当初は食品メーカーに勤めながらランチューバーとして活動していた山田さん。しかし、昨年の3月に一念発起。海外のレースなどに参加して、さらに活躍の場を広げようと会社を辞めたという。
――退社されたのは昨年3月で、ちょうど新型コロナウイルスが流行し始めた頃ですが、時期的にも金銭的にもやめることに恐怖感はなかったですか。
「正直、怖かったですね。ただ最初はコロナもすぐに収束すると言われていたので『夏くらいには海外レースに参加できるかな~』とか思っていたんです。そしたらどんどんひどい状況になってきて。海外レースどころか国内もレースが中止で、一番(視聴回数的に)強いレース動画が撮れなくなってしまいました。それでどうしようかなぁって思って、始めたのが朝起きてからの僕の日常を撮る動画で、これが意外と見てくださる人が多くて、ちょっと救われた感がありました」
「実業団選手と同じくらい、ランチューバーにも価値がある」
フリーランスになり、身軽になった山田さんだが「まだ課題が多いですし、やりたいことがたくさんあります」とこれからに野心を見せる。では、今後、『ランニング食堂』が目指す先とは、どういうものなのだろうか。