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花粉症にアスリートはどう対応している? スポーツドクター「ドーピングに引っ掛かる物質が多いので…」
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images/Toshiya Kondo
posted2021/03/15 17:00
花粉症シーズンの到来。国立スポーツ科学センターでも対応をしているという
アスリートからの要望が多い薬なのは……
蒲原:また副作用の懸念もあるので、服用はできるだけ短期間にするようにしていますね。
――副作用、というと?
蒲原:色んな副作用が出るんですけど、例えば血糖値のコントロールが少し悪くなって糖尿病になりやすい、感染症を起こしやすいなどですね。つまり、花粉症自体は落ち着いても、今度は風邪を引いてしまってコンディションを落としてしまう場合もあるんです。
――身体感覚を研ぎ澄ませているアスリートだからこそ、難しいところなんですね……。ちなみに鼻づまりなどで眠れずツラい、という人もいるかと思いますが。
蒲原:花粉症の薬は副作用で眠くなることが多いです。「眠れなくて困っている」という選手には、症状を少し抑えつつ、眠りもスムーズになるような薬を処方することはありますね。ただ多くの選手は眠れないことよりも、普段のトレーニング時に症状が出ることを気にするので「眠くならない薬をください」という要望を聞きます。なので、1日1回飲む薬の場合は、寝る前や夕食後に飲ませるようにしています。
――薬を飲み始める時期は、いつごろでしょう?
蒲原:花粉が飛び始める前に飲むと、症状を抑える効果が高いというのはよく言われていますよね。なので、2月上旬から飲む人もいます。JISSで受診するアスリートは、必ず本人と相談してから服用開始の時期を決めています。少し「花粉症かな?」という症状が出始めてから、というケースが多いですね。
一番多かったのは、フェンシング!?
ドーピングだけでなく、飲むタイミングや副作用も気にしながら飲まなければいけないのか……。薬の服用ひとつをとっても大変である。
そして薬以外にも、アスリートと花粉症にまつわるあれこれを聞いてみた。
――やっぱり、屋内競技より屋外競技のアスリートの方が花粉症になりやすいんでしょうか?
蒲原:屋内、屋外に限らず、花粉症のアスリートはいますね(笑)。実際、3月の受診者数を調べたら多岐にわたっているんです。ちなみに一番多かったのは、屋内競技のフェンシングなんですよ。
――ええっ!? それは意外です。
蒲原:もちろんこれは理由があって、フェンシングのトップアスリートが主にトレーニングしている場所がここ(JISS)なんです。しかもジュニア世代のエリートアカデミーがあって、そこに属している選手も拠点としているということもあります。
――なるほど、JISS自体にフェンシング選手が多いからか。