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遠藤航が闘将ドゥンガに肩を並べた? シュツットガルトで絶大な信頼と“約10億円の市場価値”を手にするまで
 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byGetty Images

posted2021/03/06 17:02

遠藤航が闘将ドゥンガに肩を並べた? シュツットガルトで絶大な信頼と“約10億円の市場価値”を手にするまで<Number Web> photograph by Getty Images

シュツットガルトの遠藤航は2月27日のシャルケ戦で2ゴール2アシスト。最も注目される選手の一人となった

「火事が起きたらいつでも、彼が消火しに来てくれる」

 そして、本来のキャプテンのMFカストロは、スカパー!の「プレ・マイスター」のインタビューで実に印象的な言葉を残した。

「遠藤はチームで最も重要な選手だ。これは真実であり、これからも言い続けるよ。彼はチームのつなぎ役で『消防隊』のようだ。火事が起きたらいつでも、彼が消火しに来てくれる」

「Mr.信頼」
「ボディーガード」
「兵士」
「ツバイカンプフ・モンスター」

 これまでも多くのニックネームがあったが、ここに新たに「消防隊」という称号が加わった。

 遠藤を評する言葉がこれほど多いのは、なぜだろうか?

 素晴らしい活躍をしているということ以外に、攻守の要となるポジションの選手としての自分の存在意義を、遠藤自身が的確に表現してきたからだろう。

 試合中のフォーメーションもピッチを縦に5つに分割した仮想レーンも、ある程度可視化できる。デュエルの数も、シュート数も、得点数も、確実に目に見える。

 その一方で、チームのために闘える選手、チームを引っ張る選手といったイメージは目に見える形や数字で表すのが難しい。ただ、それらを表現していくことは、自分の価値をあげていくだけではなく、チームや自分の調子を助けてくれるセーフティーネットにもなる。

 大切なのは、その国や地域で強く求められるものを的確に表現することだ。それを遠藤は高いレベルでやってのけている。

「Zweikampf(デュエル)が僕の好きな言葉です」

 例えば、今季からマウスピースをつけてピッチに立つようになった。第一の理由は、対峙する相手に全力でぶつかったときに歯を守ることだが、同時に他の理由もあるという。遠藤はこう語っていた。

「自分の今のイメージとして、球際の争いやデュエルで強いというイメージがちょっと浸透しつつあるので、(マウスピースをつけることで)ファイターらしく見えるかなという、見栄え的な理由もあって。守備的なMFはなかなか注目されづらいというか。どうしてもアタッカーが注目される。僕みたいな、あまり目立たないタイプで守備的な選手が注目されるのにはどうしたらいいのか、みたいなところからなんです」

 他にも、地元メディアからドイツ語の勉強について問われたときに、遠藤はこう答えて、記者を驚喜させている。

「Zweikampf(*)が僕の好きな言葉です」
*デュエルを意味するドイツ語のツバイカンプフ。

【次ページ】 沈黙は悪となるドイツで遠藤は

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遠藤航
堂安律
シュツットガルト

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