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PAOK香川真司はCL出場権への切り札… “プーチンと仲良しで怪しい会長”体制での不安要素とは
posted2021/03/06 11:01
text by
杉山孝Takashi Sugiyama
photograph by
Getty Images
この冬、香川真司のギリシャ行きの噂が流れると、日本ではまず怪しい人物が取りざたされていた。
審判の判定に猛抗議してピッチに乱入する、PAOKなるクラブの会長。写真の中で、その手は腰にぶら下げた拳銃に伸びている。2018年のこの事件でギリシャリーグはストップし、クラブは勝ち点はく奪などのペナルティを受けた。
この人物は、ジョージア生まれのギリシャ系ロシア人、イバン・サビディス。学校を出るとソビエト連邦軍に入り、その後はタバコ会社で幹部へ上り詰める。ソ連崩壊後は政界へと進出し、起こした会社は農業から食肉、タバコ、不動産業まで手掛ける大企業へと成長。経済紙『フォーブス』の富豪リストに載る一方で、ロシア大統領ウラジミール・プーチンに近しいとも噂される。
そのオリガルヒっぽい香り漂う人物が、富の次に目指したのがスポーツ界での名声だ。地元のFCロストフを手に入れた後は、2012年に自身のルーツがあるギリシャでPAOKの実質的オーナーとなった。
公式サイトリンクに会長のサイト……でもクラブは普通?
PAOKの公式サイトでは、なかなか良いポジションに自らの個人サイトへの誘導バナーを張っている。リンクを開くと、プーチン大統領と親しげに触れ合う写真がまず突きつけられる。「人生を生き抜くオレの格言」的なコーナーもあり、ヤバイ匂いがぷんぷんと漂う。
と、ここまでの字面だけ追うと、PAOKは危険な会長率いるブラックなクラブに思えてくる。だが実際には、そういうわけでもないようだ。
サッカークラブを所有するロシア富豪と言えば、代表格はチェルシーのロマン・アブラモビッチだろう。サビディス会長就任後、PAOKも選手補強への投資を増している。ただしその額は、年間せいぜい500万ユーロ(1ユーロ=130円で計算しても、6億5000万円)を超える程度。ギリシャの盟主、オリンピアコスの半分に届くかどうか、というレベルだった。