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リーチマイケルも「やっとフェアな状態で戦える」 2023W杯“試合間隔変更”で最も恩恵を受けたのは日本?
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byNaoya Sanuki
posted2021/03/03 17:00
2023年ラグビーW杯フランス大会の日程発表を受け、「いろいろなチームに勝つチャンスが出てくる」とポジティブなコメントを残したリーチマイケル
リーチ「やっとフェアな状態で戦える」
「これはすごくいいこと。やっとフェアな状態で戦えることになった」
27日のトップリーグの試合後、日程の感想を聞かれたリーチマイケルは即答した。
「2015年は、南アフリカと戦って、そこから3日あけただけでスコットランドと戦わなければならなかった。このタイトなスケジュールで勝つのはヒジョーに難しい」
そしてそれは、日本だけの問題ではないとリーチは言う。
「フェアな状態で戦えれば、いろいろなチームに勝つチャンスが出てくる。これからはサモアやトンガ、フィジーもフレッシュな状態で上位の国と戦えるようになるから、W杯の楽しみが増えます」
ところで、5チームでプール総当たり戦を行うには4節が必要となる。すると、必ず1チームは試合のない節(スーパーラグビーでいう「バイウィーク」)がある。だったら、6チームでプール総当たり戦をしても大会期間は変わらない。じゃあ参加国を増やそうか? という話は必ず出てくる(というか、この日程拡大はその布石といえそうだ)。
もちろん、参加国が増えれば大差の試合(=ミスマッチ)は今以上に増えるという反対意見もあるだろう。その一方で、ミスマッチが発生する原因にもなっていた、下位国ほど過酷な日程を課されていた日程の不均衡問題は今回、是正された。
これまでラグビーW杯は、強者の側、伝統国側の視点で運営されてきた。強者には強い理由があり、強者優先の大会フォーマットは合理的だ――そんな先例主義、既得権主義は、他のスポーツでもまかり通ってきた。だが、世界のあらゆる分野でダイバーシティ=多様性の尊重が求められる現在、それは無意識の差別に他ならない。とても秩序立ったスポーツ、強者が固定化されたスポーツの代表格とみられてきたラグビーの勢力地図は、これから劇的に書き換えられていくのかもしれない。
そもそも、その先頭に立って書き換えているのが、他ならぬ日本なのだし。