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ビッグネームだけじゃない! 今季トップリーグで注目“U22世代”の逸材たち【高卒即加入、NZ武者修行帰り】 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT

posted2021/02/26 06:00

ビッグネームだけじゃない! 今季トップリーグで注目“U22世代”の逸材たち【高卒即加入、NZ武者修行帰り】<Number Web> photograph by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

東福岡高からパナソニックに加入して3年目、着実にレベルアップしている福井翔大。チームメイトの評価も高い

名手ひしめく神戸製鋼に加入した李承信

 メインが秩父宮でピッチに足を踏み入れたのと同じ頃、大阪の花園では神戸製鋼SO李承信(り・すんしん)が後半34分から途中出場。こちらも20歳でTLデビューとなった。

 李は大阪朝高2年から高校日本代表に選ばれ、3年では高校日本代表ウエールズ遠征の主将も務めた期待の司令塔。進学した帝京大でもルーキーイヤーからCTBで活躍したが、高校日本代表の遠征や、大学1年終了時にジュニアジャパンとして出場した「パシフィックチャレンジ」で海外選手の強さ、速さに触れたことで、海を渡ることを決意。当初はメインのようにNZへの挑戦を計画したが、コロナ禍の影響で渡航が叶わず、そこへ声をかけたのが神戸製鋼だった。

 神戸製鋼といえば昨季まで世界的名手、ダン・カーターが在籍。今季からはWTBベン・スミス、SOアーロン・クルーデンが加入するなど、オールブラックスの英雄たちをはじめとする世界トップの選手がひしめいている。そんな厳しい環境へ飛び込んだ。

 迎えたNECとの開幕戦、李はメインと同じ背番号22のジャージーを着てベンチ入り。ヘイデン・パーカーとの交代でSOのポジションにつくと、最初のボールタッチでいきなりベン・スミスへオフロードパスを通し、次のボールタッチではCTBリチャード・バックマン→FB山中亮平と渡るトライを演出した。TLでプレーした選手は星の数ほどいるだろうが、デビュー戦の最初のプレーで、まして司令塔のポジションでトライをクリエイトした選手はほとんどいないだろう。この運は、これから先の神戸製鋼での、あるいはその先のキャリアでの大きな武器になる気がする。

昨季から出番を得る20歳スクラムハーフ

 トップリーグ開幕戦に先発でピッチに立ったのはサニックスSH藤井達哉だ。藤井は19歳だった昨季もトップリーグ開幕戦に先発し、3戦目には歴代最年少記録となる19歳10カ月10日でのトライを記録した。

 20歳になった今季も開幕のクボタ戦に先発。チームは敗れたが、後半20分を過ぎ、7-43の劣勢から2トライを奪ったサニックスの逆襲の起点には、両チームが消耗したラスト20分でもフィットネスを落とさず、素早くポイントに到達してはパスをさばき続けた藤井の驚異のスタミナがあった。そしてこの試合で藤井は、昨季は一度もなかった80分フル出場を果たした。

 日本代表ナショナルチームディレクターの藤井雄一郎氏を父に持つ藤井も「NZ帰り」組だ。東海大福岡高を卒業したあと、日本代表を率いるジェイミー・ジョセフやトニー・ブラウンの地元でもあるオタゴへ留学。2シーズンにわたる武者修行で、ハイランダーズU18、オタゴU19を経験してきた。ラグビー王国の激しさと文化の深さを学び、19年9月にサニックスへ入団。そこからたった1年で、すでにチームを支える重要なピースへと成長している。

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