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ビッグネームだけじゃない! 今季トップリーグで注目“U22世代”の逸材たち【高卒即加入、NZ武者修行帰り】 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNaoki Nishimura/AFLO SPORT

posted2021/02/26 06:00

ビッグネームだけじゃない! 今季トップリーグで注目“U22世代”の逸材たち【高卒即加入、NZ武者修行帰り】<Number Web> photograph by Naoki Nishimura/AFLO SPORT

東福岡高からパナソニックに加入して3年目、着実にレベルアップしている福井翔大。チームメイトの評価も高い

注目のU22世代のプレーヤーたち

 U22世代――つまり、大学ラグビーでの4年間を経ずにトップリーグのチームに加わり、しかも試合に出ている選手が、今季は例年以上に多い。ここからは開幕戦に出場した注目のU22世代のプレーヤーをピックアップしたい。

 聖地・秩父宮で輝いたのは、パナソニックの21歳、福井翔大だ。後半12分にピッチに入ると、3分後には相手ゴール前スクラムをNo.8の位置から猛プッシュ、TL初トライを決めた。輝きはトライだけにとどまらず、ジャッカルに入ってはペナルティを誘発し、力強いボールキャリーで相手ディフェンスの中を突き進んだ。

 福井は東福岡高を卒業してすぐにパナソニックに加入、高卒1年目から公式戦を経験した。昨季はシーズンが中断したこともあって、TL初トライこそ3年目まで遅れたが、それでも21歳4カ月での達成は、小野晃征(サニックス)の21歳5カ月、松島幸太朗(クレルモン/フランス)の21歳9カ月よりも若い。186センチ、1年目に95キロだった体は101キロまで増量。肩の筋肉は盛り上がり、胸板の厚さはその数字以上に大きさを感じさせている。主将のHO坂手淳史は開幕を前に、福井をこう評した。

「福井はどんどん伸びてきています。今年は今までやっていなかったラインアウトのコーラー(サインを出す役)も任されて、自分の強みを増やしている。いつもジョージ(・クルーズ/イングランド代表45キャップのLO)やジャック(・コーネルセン/オーストラリア出身のNo.8、LO)とコミュニケーションを取って、自信を持ってやっている。何にでも積極的にチャレンジするのが彼の強みです」

御所→NZを経てリコーに加入したメイン平

 同じ試合ではリコーの20歳、CTBメイン平も途中出場でTLデビューを果たした。劣勢の展開にあって出場は後半31分から。意図したプレーはあまりできなかったが、相手ディフェンスに向かって果敢に走り込んでいく勇気と接点での強さには将来性を感じさせた。

 メインは御所実高3年のとき、セブンズ(7人制)ユース日本代表に選ばれ、アルゼンチンで開かれたユースオリンピックでは銅メダル獲得に貢献。高校を卒業した19年4月から2シーズンは、父マーティーさんの母国ニュージーランドへ渡り、オークランド近郊のクラブチーム、ノースハーバーマリストに加入。地域のクラブ選手権では一軍のFBでプレーした。

 NZと日本の両方の国籍を持つメインは、オールブラックスと日本代表のどちらも目指せる立場だ。まずはNZの地区代表選手権「マイター10」のノースハーバー入り、スーパーラグビーを目指すつもりだった。だが、19年W杯での日本代表の躍進がジャパンへの思いをより強くさせた。

「NZにいた間も、日本の大学ラグビーの映像を確認していました。高校時代に一緒にやっていた選手たちがどんなプレースタイルでやっているかを勉強しながら」

 あわせて、NZで積んだ経験の価値も感じていた。

「練習でも試合でも、周りの大きな選手にタックルされて、日本では経験できないタフさを学びました。高校の時のように片手でボールを持っていたらすぐに取られてしまう。そういう基礎の部分を大切にしなきゃいけない。それを学べたので、2年目は自分の強みを発揮できたと思う」

 NZでの2シーズン目にコロナによるパンデミックが到来し、国内リーグが大幅に縮小。そのタイミングで以前からNZでの試合を見ていたリコーの関係者からオファーが届き、20歳を迎えた20年秋にリコーに加入。年が明けた2月にTLデビューを飾るのだ。

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