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なぜ「4-3-3」で戦い切らなかったのか?…川崎戦で見えた「ガンバが優勝するためにやるべき」1つのこと
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byKYODO
posted2021/02/22 17:03
矢島慎也(21)のゴールに沸くガンバイレブン
宮本監督は、自分たちのスタイルをどうすべきか、ずいぶん考えたことだろう。今年、導入した4-3-3は、その答えだったのである。
実は、そのシステムを完璧に機能させ、強さを見せたのが川崎Fだった。
川崎もマリノスも「耐える時間」を乗り越えている
昨シーズン、川崎には公式戦3戦3敗で、アウェイでは5失点を喫し、天皇杯決勝では「何もかも違う」と倉田を消沈させるほど圧倒的な力の差を見せつけられた。宮本監督が攻撃的なガンバのDNAを引き継ぐために、4-3-3にトライする価値を見出したのは不思議なことではない。
ただ、スタイルの確立には我慢と時間が要る。だからこそ、今回の苦しい状況で戦い切れば、いろんな不安が払拭されて選手たちも新シーズンに向けて自信や課題を得ることができたはず。
今の川崎があるのも、風間八宏が5年指揮を執り、その土台に鬼木達監督が守備のアレンジをして花を咲かせたから。クラブのスタイルが完成した中、昨年は新たに4-3ー3を採用し、それが見事にハマってダントツの優勝を果たしている。マリノスも、18年にスタイルの確立に苦しみながら1年かけてチーム作りを進め、翌19年リーグ戦を制した。
川崎もマリノスもスタイルを確立し、優勝に結びつけるために、耐える時間を乗り越えてきているのだ。
ブレずにやり続けた先に“ガンバのスタイル”がある
欧州チャンピオンズリーグで優勝したバイエルンのように、芯となるスタイルを持ちつつ、柔軟性と多様性を兼ね備えるのが今のトレンドだ。
ガンバは、4-3-3をベースに、スタイルを確立していくことが求められている。
宮本監督が4年目を迎える今シーズン、この日、川崎に敗れはしたが、戦い方には昨年にはない成長が見えた。
ブレずにやり続ける勇気の先に、「ガンバのスタイルとは?」の答えが明確になるはずだ。