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なぜ「4-3-3」で戦い切らなかったのか?…川崎戦で見えた「ガンバが優勝するためにやるべき」1つのこと 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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posted2021/02/22 17:03

なぜ「4-3-3」で戦い切らなかったのか?…川崎戦で見えた「ガンバが優勝するためにやるべき」1つのこと<Number Web> photograph by KYODO

矢島慎也(21)のゴールに沸くガンバイレブン

 矢島慎也が1点を返すと勢いがつき、川崎がシミッチ、脇坂泰斗と交代したばかりの塚川孝輝、橘田健人がゲームに入り込めていない中、攻勢を強め、その7分後、パトリックのPKで同点に追いついた。

 宮本監督は、同点に追いついた後、ここが勝負どころと読み、チアゴ・アウベス、レアンドロ・ペレイラの新外国人選手を2人同時に投入した。たたみ込んで試合をひっくり返すポジティブな起用だが、同時にシステムを4-4-2に変更した。天皇杯の決勝では同じ川崎相手に3バックでスタートし、何もできないまま後半に失点し、4-4-2に戻して反撃に転じることができた。

 この流れを見ていると、今年のガンバはタフなチームになっていることが見て取れた。

 宮本監督も「選手たちは一生懸命やってくれた。内容は今年の始動日から取り組んできたものが出せた」と、一定の手応えを感じたようだった。

 ただ今年を新システムで戦うつもりなら、まずは最後まで押し通すところを見たかった。“ガンバのスタイル”を確立するためにも、もう少し「4-3-3」がどのように作用するのかを見ておくべきだったと思うからだ。

当初の狙いから外れ「堅守速攻型」になった昨シーズン

 昨年のシーズン当初、ガンバは前線からの猛烈なプレッシングを軸とした素早い攻撃とポゼッションを両立するサッカーを確立しようとしていた。開幕戦の横浜F・マリノス戦ではアグレッシブな守備から攻撃に転じる戦術で2019年優勝チームの攻撃をしのぎ、スタイルの追求とともに、対戦相手によって宮本監督が戦術を柔軟に変えていく采配に期待が膨らんだ。コロナ禍による中断明けも3試合目から4連勝するなどいい状態だった。

 ところが、8月に入ると結果を出すことが難しくなった。9月になり、柏レイソル戦、湘南ベルマーレ戦に連敗すると、9月19日の北海道コンサドーレ札幌戦には4-4-2に変更。そこから守備に安定感を取り戻し、12戦負けなしの快進撃を続けたものの、内容とはいうと順位争いをする中で守りの意識が強くなりすぎて、攻撃的な4-4-2というよりも後ろに重きを置いた戦い方だった。

 パトリックの個に頼って1点を取り、守り切る。シーズン前の狙いとは異なる堅守速攻型に落ち着き、20勝の内、1点差での勝利は16試合に及んだ。最終的にガンバは2位を死守したが、結果を得るためにスタイルを棚上げした感は否めなかった。

【次ページ】 川崎もマリノスも「耐える時間」を乗り越えている

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