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「柱=バイエルン?」「善逸は危険な状態」スポーツメンタル専門医が『鬼滅の刃』を読み解いたら……
posted2021/03/04 17:04
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Ichisei Hiramatsu
空前の大ブームとなったマンガ『鬼滅の刃』。大正時代を舞台に、家族を「鬼」に殺された少年・竈門炭治郎が、唯一生き残りながらも鬼化してしまった妹を人間に戻すために戦う姿を描いている。2020年12月に最終巻が発売されたが、今年に入ってアニメの新シリーズ制作も発表され、その熱はまだ冷めない。
この作品の1つの特徴として、作中で登場する「メンタル」への言及も話題となったが、精神科医であり、ブラインドサッカー日本代表やコンサドーレ札幌アカデミー、Real Madrid foundation football schoolなどでメンタルアドバイザーも務める木村好珠さんによると、「鬼滅の刃の作者は、メンタルを的確に捉えている」という。
高校のバレーボール部が舞台の『ハイキュー!!』はともかく、スポーツとかけ離れた『鬼滅の刃』はどういうところがメンタルの「学び」になるのだろうか(全3回の2回目/#1、#2から続く)。
「作者の方は、相当にメンタルに詳しいなと思いますね」
――木村先生曰く、「鬼滅の刃の作者は、メンタルを的確に捉えている」ということですが。
「『鬼滅の刃』の重要な要素として、“呼吸”があります。水の呼吸とか、作中で、必殺としても登場しますよね。メンタルにおいても、呼吸は非常に重要な要素です。
診療に来られた患者さんに『薬に依存したくないですし、それ以外に出来ることはありますか』とよく聞かれるんですけど、その時は『呼吸です』とお伝えしています。メンタルが整っていない時は交感神経が優位になって、呼吸が浅くなります。さらにその状態が続くと、酸素がうまく回らなくなって、脳や臓器に色々な弊害が生じるんです。そこでしっかりと正しく深呼吸できるかが、大切なんです」
――正しい呼吸というのは。
「本当にたくさんの方が勘違いされているんですが、息を吸うのではなく、正しい深呼吸は、必ず最初に息を吐きます。腹式呼吸でお腹に手を当てて、全部吐き切る。全部吐いて苦しいと思ったら、今度は吸って、ゆっくり鼻から吐くんです。息を吐いている時間は吸っている時間の2倍かけます。この吸って、吐いてを繰り返すと不安が解消され、メンタルが整えられるんです。
『鬼滅の刃』は、この呼吸を重視していますし、そこに焦点を当てています。作者の方は、相当にメンタルに詳しいなと思いますね」
――確かに主人公の炭治郎も「呼吸」は頻繁に使っていますね。
「炭治郎で言えば、呼吸の他にもよく『自分の声を聞く』っていうのがあります。これは、自分が話すか話さないかをコインで決めているカナヲに伝えた言葉でもあります。厳密に言えば、自分で自分の心の声を聞くことはなかなかできないですけど、メンタルにおいては、すごく大事なことです」
「全集中」はいいことだけど……
――自分の声を聞くことが、メンタルにおいて大事なことなのですか。