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将棋、クイズ…なぜ“頭脳ゲーム”に人々は熱中するのか? スポ根漫画「数学ゴールデン」の作者に聞いてみた
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by藏丸竜彦/白泉社
posted2021/02/11 11:01
学問としてではなく、競技として数学を捉えた異色のスポ根漫画「数学ゴールデン」が今話題だ
「たとえ参考書に載っていることでも、それを見ずに自分で考えて何かを思いついたのなら、それは閃いたと言っていいと思うんです。そういう瞬間を楽しめるように『数学ゴールデン』は描きたい」
スポーツやバトル漫画なら、相手を倒す場面で読者に爽快感を感じさせることができる。だが、『数学ゴールデン』で挑む相手は主に数学の問題だ。漫画家として、どうやって問題を解く気持ちよさ、閃きの喜びを表現するか。格闘漫画や将棋漫画も参考にしながら、藏丸はオノマトペや流線の活用、見開きの演出も駆使して、その爽快感を描き出そうとしている。それが「スポ根数学漫画」と呼ばれるゆえんである。
「2巻では本当にアクションも登場しますからね」
第1巻では主人公が問題を解くために使う「鳩の巣原理」をスーパー戦隊シリーズでたとえて作中で説明した。そこには、数学を知らない人でも楽しめるようにという配慮の跡が見える。
数学の証明を組み立てるように、物語の展開やプロットはもう見えているのだろうか。
「いやあ、現場は結構行き当たりばったりです(笑)。自分でも何ができるのか試している状態。2巻では本当にアクションも登場しますからね。数学を漫画にするために、自分も閃いていかないといけません」
難問を解くのと同様、数学漫画の解を生み出すのもまた一筋縄ではいかないのだ。
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