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「なぜ、誰も辞任させようとしないのか?」森喜朗会長“女性蔑視”発言問題、3つの素朴な疑問に答える
posted2021/02/10 17:05
text by
与良正男Masao Yora
photograph by
Representative photo
謝罪会見を開いてもなお、批判が続いている東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長による“女性蔑視”発言。一連の問題における3つの「素朴な疑問」について、森会長が総理大臣時代に毎日新聞政治部で官邸キャップを務めていた与良正男氏(毎日新聞専門編集委員)に解説してもらった。
(1)なぜ、誰も辞任させようとしないのか?
これだけ森喜朗会長の“女性蔑視”発言について国内外から批判が出ていても、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会幹部だけでなく、菅義偉総理などの政治家からも積極的に辞任を促すような発言はありません。
これには大きく2つの理由があります。
まずひとつは森会長が続投したほうが、何かと“都合がいい”と思っている人が多いからです。
これまでも五輪開催に向けて、様々な問題やトラブルがありましたが、たとえば、新国立競技場の設計でもめていたときに、組織委員会幹部がこんなことを話していました。
「トラブルがあっても『全て森さんが悪い』で済ませられる。組織としてこんなにありがたい人はいない」
つまり、いろんな関係者が絡むなかで物事を進めていくために、“不満のはけ口”として非常に収まりがいいわけです。
もし今後、五輪開催がうまく行かなかった場合には「あの森会長の発言が悪かった」と言い出す人も出てくるかもしれません。
森会長本人も「国へのご奉公」と信じて疑っていません。だから何を批判されても気にしていません。本当に組織としてはありがたい存在なのです。
菅総理などにとっても、本来であれば自分の様々な問題にもっと注目が集まってもおかしくありませんが、すべての批判が森会長に向かっています。