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29歳九里亜蓮が“投手陣最年長”に 広島カープ王者復権へ「春季キャンプで解決すべき」最重要課題とは?
posted2021/02/03 17:01
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
JIJI PRESS
無観客の中、始まったプロ野球の春季キャンプ。就任2年目となる広島の佐々岡真司監督は大きな難問を抱えている。それは、勝利の方程式の確立――。
昨年は勝ちパターンを確立できないまま開幕延期が決まった。勝利を完結させる3~4人の救援投手を誰にするのか。2年越しの課題であり、今キャンプ最大の課題となる。
リーグワーストの救援防御率4.64
昨年は投手陣が低迷の一因となった。
防御率はリーグワースト2位の4.06に悪化。特にリーグワーストの救援防御率4.64が戦いに大きな影を落とした。6月の開幕が決まっても調整試合が少なかったことも難しかった。
抑えとして期待したテイラー・スコットは2本のサヨナラ満塁弾を浴びるなど、1セーブも挙げられないまま二軍に降格。その後も菊池保則、一岡竜司と抑え投手を代えるも、開幕から1カ月、広島が記録したセーブ数は菊池保が挙げた1セーブのみだった。その後、4人目の守護神ヘロニモ・フランスアがようやく抑えに定着。最後が決まらなければ、セットアッパーも決められない。シーズン中盤からは塹江敦哉、ケムナ誠、島内颯太郎など若い投手が抜擢されたものの、シーズン通して固定できなかった。
さらに、シーズン序盤の逆転負けを繰り返す試合展開によって、1点、2点のリードも安全圏ではなくなった。打力重視の起用となり、試合終盤の守備固めへの舵切りも鈍った。佐々岡監督が就任時に掲げた「機動力野球」はなりを潜めた。
掲げた野球とのギャップ。その差を埋める言葉もなく、プレーする選手たちが迷っているように見えるときもあった。
3連覇を支えた“救援陣の復活”
昨年、リーグを連覇した巨人とは救援防御率に1点以上の差があった。この差を埋めることが、上位進出の大きな鍵だ。