炎の一筆入魂BACK NUMBER
29歳九里亜蓮が“投手陣最年長”に 広島カープ王者復権へ「春季キャンプで解決すべき」最重要課題とは?
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byJIJI PRESS
posted2021/02/03 17:01
29歳で広島カープ投手陣“最年長”となった九里亜蓮
3連覇した18年までの3年間はいずれも、逆転勝利した試合は40試合以上あった。「逆転のカープ」とも言われた一方で、逆転された試合はいずれも26試合。「逆転されないカープ」をつくったのは紛れもなく、救援陣だった。中崎翔太や今村猛、ジェイ・ジャクソンや一岡、フランスアらで勝利の方程式を担っていたのだ。
救援陣の安定は、チームの安心感につながるし、相手より1点でも多く得点できれば逃げ切れるという自信は、広島が目指す“つなぎの野球”の意識浸透を促進させる。たとえ先発が早い回で崩れても、第2先発が立て直すことが出来れば、負け試合を拾う希望も見えてくるはずだ。
相手には「9回まで」ではなく「6回まで」にリードしなければいけないという焦りも与えられる。残り3イニングを逃げ切るだけの影響力ではない。勝利の方程式は登板しなくても、目に見えない大きな効果をもたらす。
勝利の方程式確立を急ぐ佐々岡監督と広島に、難題をさらに難しくさせる問題が生じた。今季も抑え最有力のフランスアが新型コロナウイルスに感染し、来日が遅れた(1月25日に来日)のだ。新戦力として勝ちパターン入りが期待されたカイル・バード(元レンジャーズ)もまだ来日の目途が立っていない。新外国人選手の来日遅れは他球団も同条件なので言い訳にはできないが、出遅れたフランスアを含めた現有戦力で、開幕時の方程式を決めていかないといけない。
キャンプを打ち上げれば、14試合のオープン戦を経て開幕を迎える。昨年は開幕6日前のソフトバンクとの練習試合でお披露目された勝ちパターンは公式戦ではわずか2試合のみ。引き分けと逆転負けを喫して解体となった。最終的には実戦の中での見極めとなるものの、昨年と同じ轍を踏まないために、キャンプ期間中に候補選手だけでも絞り込んでおきたいところだ。
29歳九里亜が“投手陣最年長”
勝利の方程式の輪郭すらつかめていない状況で始まった春季キャンプだが、首脳陣にとっての難問も、選手にとってはチャンスとも言える。さらに指揮官は先発投手の配置転換の可能性も示唆する。一軍キャンプに参加する投手陣は、29歳の九里亜蓮が投手陣最年長という若さ。昨年台頭した若手や、新たに一軍定着を目指す若手がどアピールするには格好のタイミングだ。