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「漢だろ!は言いません(笑)」「20%はすごく真剣に…」大八木監督と大迫傑の妻は大会をどう見ている?
posted2021/02/17 11:05
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph by
Takuya Sugiyama
日本を代表するマラソンランナーである大迫傑の食事をサポートしてきたあゆみさんは、現在、若い選手たちに食についてのセミナーなども行っている。
後編では、ともに栄養関係の資格を持つ2人に長距離選手が押さえるべき食事について、語ってもらった。(全2回の2回目/前編はこちら)
大八木 やっぱりしっかり食べて走るというのが基本ですよね。寮ではお菓子などは禁止していませんが、まずは食事をしっかり食べるようにと言っています。うちは基本的におかずの量は同じで、ご飯の量は選手に任せているのですが、なんとなくどれぐらい食べているかは見るようにしています。なかにはどうしても食が細い子もいますので、ゆっくりでもいいから食べるように、それでも無理なら、何回かに分けて食べてもいいと言っていますね。
大迫 先日、女子高校生の選手向けにセミナーをしたのですが、「軽い方が速く走れると言われ、体重を落とすために食事制限をしたら生理が来ない」という質問が出たり、保護者の方が私のところに既に十分絞れていて細身の娘さんを連れてきて「この子太ってますよね。もっとやせた方がいいですよね」と血眼で言うのを見てすごく心配になりました。
大八木 女子の選手はカロリー制限や、食べちゃいけないと指導されるという話をよく聞きますね。単純に考えたら、そんな状態で走れるわけがないと思うんです。しっかり栄養を摂って、走って消費するというのが普通。
大迫 私も食べないで体重を軽くして速くなるのは一時的なことだと思うんです。目先のことにとらわれて、高校時代だけトップにいても、続かないですよ。長く競技を続けたいなら、しっかり食べないといけないと思います。
大八木 本当に女子の選手はかわいそうだなと思うことがよくあります。どの栄養素も大事ですが、長距離選手であればやはり鉄分、カルシウムは大事ですね。特にカルシウムは食事の中では取りにくいので、牛乳やヨーグルトを積極的に食べたり、選手もサプリを常備していますね。
M高史 寮に置いてあるサプリの種類増えましたよね? 僕がいた頃は鉄とビタミンCぐらいだった気がします。
大八木 今はプロテインやスティックの青汁とかも置いていて、練習の前後に選手たち自身が使い分けて飲んでいますね。食生活がすぐにケガに結びつくわけではないですが、何度も疲労骨折をしていたり、貧血ぎみの選手には繰り返して欲しくないので、特に気をつけて見ています。例えば、中村匠吾選手は最初は体も食も細かったんですけど、栄養や食事への意識がとても高くて。きちんと食べることで貧血はほとんどなくなりましたし、体もしっかりしました。