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“オリンピック好き大国”も「日本の8割が反対なのに…」 アメリカは東京五輪開催の可否をどう報じた?
posted2021/01/28 11:02
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Getty Images
1月中旬にニューヨーク・タイムズ電子版の「東京五輪開催の見通しは暗い(Hopes for Tokyo’s Summer Olympics Darken)」という記事が出ると、堰を切ったように、開催を不安視する記事が次々と発表された。
さらに追い打ちをかけるように、英紙が2012年ロンドン五輪の関係者の声による東京五輪開催は難しい、中止になるのではという内容の記事を出すと、選手や関係者たちに大きな動揺が走った。IOC(国際オリンピック委員会)が公式に「東京大会の中止の予定はない」と声明を発表したが、その言葉を鵜呑みにしている関係者は多くはない。
「オリンピック好き」のアメリカですら……
「オリンピックが好きな国は」というアンケートが世界で行われたら、米国はまちがいなく上位に入るだろう。
普段、五輪スポーツに興味がない人でも、放映権を持つNBCの五輪関連のCMにワクワクし、家族で開会式を見る人は多い。NBCは五輪ファンの視聴を見込んで、北京五輪につづき、東京五輪でも米国のプライムタイムにあわせて、一部競技の決勝種目を午前に変更させたほどだ。
しかし新型コロナウィルスの影響で、これまでの生活や常識が一転したこと、また米国だけではなく世界の状況にも目を向けるようになったせいか、スポーツや五輪への考え方にも変化が生まれている。
ニューヨーク・タイムズの記事を受けて、こんな声が見られた。
「日本の8割近くが開催に反対している状況で、強行開催するのはいかがなものか」
「反対の声が多い中で五輪開催の意義を感じない」
「感染への安全性が確保されていないのに、本当に開催できるのだろうか」
そのほか、経済効果に関する意見もあった。
「そもそも五輪招致の際に、開催都市が経済効果を挙げている。でも無観客で開催した場合、東京への経済効果は少なく、開催する理由が見当たらない」
チケット購入者のグループでも「東京五輪に行くのをずっと楽しみにしていたけど、さすがに今の状況だと不安だから、チケットをキャンセルした」という声も多く出ている。