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“オリンピック好き大国”も「日本の8割が反対なのに…」 アメリカは東京五輪開催の可否をどう報じた? 

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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posted2021/01/28 11:02

“オリンピック好き大国”も「日本の8割が反対なのに…」 アメリカは東京五輪開催の可否をどう報じた?<Number Web> photograph by Getty Images

半年後に迫った東京五輪。3月25日より聖火リレーがスタートする予定

 選手、関係者も米国、世界の感染状況、そして五輪をめぐる報道を注視し、不安を抱えている。しかし「開催可否は選手にはコントロールできないので、今は開催されると信じて練習に集中するだけ」と選手達は口を揃える。

 そんな中、リオ五輪で女子棒高跳銀メダルのサンディ・モリスは「こういう状況で五輪を開催すべき、してほしいとは言えない。でも私たち選手の心情も理解してほしい。五輪のためにすべてを犠牲にして競技に向かってきた。私は今年29歳で、金メダルの最後のチャンスだと思っている。パリ五輪では32歳。心身ともにピークでいられるか分からない。五輪が中止になっても、2021年シーズンはあるので、プロとして試合には出るけれど。でも五輪が中止になったらと考えると……」と涙を浮かべて話す。

 モリスの夫で、東京で4度目の五輪出場を目指すタイロン・スミスは、リオ五輪でバミューダ代表として開会式で旗手も務めた。東京五輪の舞台を最後に第一線から退くことを決め、現在は大学院で学びながら練習を行っている。

「五輪は自分、家族、そして国への思いを胸に戦う場所。満員のスタジアムで観客の声援とパワーを受けて舞台に臨む気持ちは何物にも代えがたい。でも観客のいない空っぽのスタジアムでも、全力で戦うことはできるから……」と五輪への思いを口にする。

消えない「ワクチン接種」への不安

 米国では12月から医療従事者に、1月からは65歳以上の人にワクチン接種が開始された。今後、年齢、職業、また持病があるか否かなどのカテゴリー別にワクチン接種が可能になる見込みで、春~夏頃には多くの人が接種可能になると言われているが、一般の接種時期はまだ明確には決まっていない。

 IOCは五輪、パラリンピックに参加するすべての選手にワクチン接種を呼びかけると発表しているが、そちらも明確な指針は出ていない。

 ワクチンに関しては、副反応などまだはっきりとしない部分も多いほか、持病がある人がワクチン接種後に命を落としたり、接種した場所に痛みを感じたり、発熱したりするケースも出ているため、不安を口にするとスポーツ関係者も多い。

【次ページ】 開催可否のリミットは「3月下旬」か?

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