酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
2020年のオリックス、借金23最下位も実は弱くなかった? 伸びしろを感じるワケ【記録で振り返り】
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byJIJI PRESS
posted2021/01/06 11:02
初の首位打者に輝いた吉田正尚。山本由伸とともに投打の軸はいるだけに、チームの底上げさえされれば……
筆者は8月以降に京セラドーム大阪でオリックス戦を10試合ほど見たが、特に打線の淡白さが気になった。8月7日のロッテ戦では17安打で3得点。4併殺でことごとくチャンスをつぶしていた。観客席からはチャンスでも「どうせまたゲッツーやで」と嘲笑が起こっていた。
西村監督と中嶋監督代行時代の違いとは
西村監督時代と中嶋監督代行時代の違いについて、もう少し詳しく見てみよう。
<西村監督が解任された週の終わりである8月24日時点と、中嶋監督代行時代のチーム打率と防御率>
西村監督時代 打率.246 防御率4.29
中嶋代行時代 打率.248 防御率3.69
チーム打率は大きく変わらないが、防御率が大幅に向上している。つまり投手陣が立て直されたのだ。これは、捕手出身の中嶋監督代行の手腕が発揮されたとみるべきではないか。
山本由伸、増井が明らかに良くなった
先発ではエース山本由伸の変化が目覚ましかった。
西村監督時代 9試合3勝1敗 60.2回 防御率3.41
中嶋代行時代 9試合5勝3敗 66回 防御率1.09
西村監督時代は9試合で5度のクオリティスタート(QS。6回以上投げて自責点3以下、先発投手の最低限の責任)だったが、中嶋監督代行になってからの9試合はすべてQS。千賀滉大に防御率1位のタイトルこそ奪われたが、リーグ屈指の先発投手になった。
また増井浩俊は配置転換で復活した。
西村監督時代 11試合0勝1敗5ホールド 9.2回 防御率3.72
中嶋代行時代 5試合2勝1敗 26回 防御率2.78
日本ハムからFA移籍してクローザーとして活躍した増井だが、2019年以降救援に失敗すること多くなり、7月27日に二軍落ち。しかし中嶋監督代行に代わった9月3日に一軍に再昇格すると先発投手として立ち直ったのだ。
西村監督時代の正捕手は若月健矢だったが、中嶋監督代行は伏見寅威を重用。捕手出身だけに、このあたりにも眼力を発揮したのかもしれない。