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育成の日本ハムのはずが…ドラフト上位組“伸び悩み” 清宮幸太郎&吉田輝星は覚醒なるか【記録で振り返り】
posted2021/01/06 11:03
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
「育成の日本ハム」という看板は、ここ3年ほどで急速に色あせつつある。これが筆者の率直な印象だ。
<2020年チーム成績>
53勝62敗5分 勝率.461(5位)
打率.249(2位タイ)本塁打89本(6位)472打点(3位)80盗塁(5位)
防御率4.02(4位)25セーブ(5位)83ホールド(5位)98被本塁打(5位)
基本的なチーム成績からは「秀でた部分がほとんどないチーム」ということが見て取れる。ここ2年、日本ハムは5位続き。どん底に落ちるほどひどくはないが、上位に浮上する兆しもない。「冴えないチーム」になりつつあるのだ。
その最大の要因は「人材を輩出していない」から。2018年以降の3年間の投打の主力選手の推移を見ながら、今季を検証しよう。
<投手陣PR(Pitching Run リーグ平均防御率を基準にした投手の総合指標)>
〇2018年
1上沢直之 13.63
(25試11勝6敗0SV 0HD 165.1回 率3.16)24歳
2宮西尚生 10.51
(55試4勝3敗0SV 37HD 45回 率1.80)33歳
3公文克彦 10.39
(57試2勝0敗0SV 11HD 54回 率2.17)26歳
4浦野博司 8.07
(36試2勝2敗7SV 9HD 41.2回 率2.16)29歳
5石川直也 7.10
(52試1勝2敗19SV 18HD 48.2回 率2.59)22歳
〇2019年
1有原航平 26.39
(24試15勝8敗0SV 0HD 164.1回 率2.46)27歳
2宮西尚生 11.55
(55試1勝2敗0SV 43HD 47.1回 率1.71)34歳
3金子弌大 10.55
(26試8勝7敗0SV 2HD 109.2回 率3.04)36歳
4玉井大翔 8.92
(65試2勝3敗0SV 11HD 62回 率2.61)27歳
5ロドリゲス 6.65
(34試6勝7敗1SV 8HD 91.1回 率3.25)28歳
2017年オフに大谷翔平がMLBに移籍。先発投手陣の柱は上沢と有原に託された。2018年は上沢がエース、2019年は有原が最多勝の活躍だったが、先発2番手が固定できず。2019年はオリックスから獲得した金子がそこそこの働きを見せた。ただし救援陣が不安定だった。
〇2020年
1 宮西尚生9.74
(50試2勝1敗8SV 21HD 48.1回 率2.05)35歳
2 上沢直之8.65
(15試8勝6敗0SV 0HD 97回 率3.06)26歳
3 バーヘイゲン7.98
(18試8勝6敗0SV 0HD 111.2回 率3.22)30歳
4 杉浦稔大6.08
(17試7勝5敗1SV 0HD 74.2回 率3.13)28歳
5 有原航平5.94
(20試8勝9敗0SV 0HD 132.2回 率3.46)28歳
上沢、有原、新外国人バーヘイゲンがそろって8勝、杉浦も7勝、しかし4人とも防御率は3点台で勝敗は拮抗し、エースというには物足りない。結局、3年続けて常に高い貢献度を示してきた投手はセットアッパーの宮西尚生だけだった。