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チーム全員が全力ディフェンス…“脇役“が輝くサンロッカーズ渋谷の天皇杯連覇はなるか
posted2021/01/02 11:01
text by
吉川哲彦Akihiko Yoshikawa
photograph by
B.LEAGUE
サンロッカーズ渋谷が5年ぶりに天皇杯を制覇したのが2020年1月12日。あの歓喜の瞬間から早1年が経とうとしている。
その後のBリーグ2019-20シーズンは27勝14敗でフィニッシュ。コロナ禍がなければワイルドカードでチャンピオンシップに進んでいたはずだったが、強豪ひしめく東地区では4位という順位に終わった。天皇杯以降の成績は8勝5敗。わずかとはいえ勝率を落としたことを考えると、天皇杯制覇の勢いをリーグ戦に結びつけたとは言い難い。
そんなSR渋谷だが、今シーズンは中盤戦に差しかかって調子を上げてきている。開幕3連敗を喫するなど10月は4勝6敗だったが、11月は4勝1敗と盛り返し、12月に入ると5連勝。その後の第96回天皇杯2次ラウンドもB3東京エクセレンスを退け、15日間で7試合というハードスケジュールを6勝1敗で乗り切った。
伊佐勉HCが心がけている「タイムシェア」とは?
SR渋谷の大きな特徴といえばディフェンス。ファウルの多さという課題があり、それゆえに失点も少なくはないのだが、それはディフェンスのハードさの裏返しでもある。
そして、そのハードなディフェンスを実行する上で伊佐勉ヘッドコーチが心がけているのがタイムシェアだ。選手個々のプレータイムをコントロールし、できるだけフレッシュな状態でプレーさせることでディフェンスの強度を維持しようというもの。伊佐HCはリーグ内でも特にそれを重視するコーチで、コートの5人を一度に全員入れ替えることも多々ある。
その恩恵を受けているのが、自身の地元であるレバンガ北海道と契約更新できず、昨シーズン移籍してきた野口大介だ。
196cmというサイズを持つ野口は、移籍1年目の昨シーズンも外国籍選手の控えという貴重な役割を担い、天皇杯優勝に貢献。今シーズンは外国籍選手が3人ベンチ入りした上で、そのうちの2人が常にコートに立つことができるレギュレーションになり、サイズのある日本人選手の出場機会が大きく減りかねない状況になってしまったが、それでも野口は1試合あたり10分前後のプレータイムを確保し、変わらずチームに貢献している。伊佐HCが標榜するチームスタイルが野口を必要とし、野口自身もそれによって輝きを取り戻したということが言えるだろう。